操体法大辞典

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人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」

先日、「ミー・インク」など数冊はご紹介したが、この「人は、誰もが『多重人格』」を読んで、ジーン・シモンズもまさに「多重人格」を上手く使っている優秀な経営者(でありロック・スター)であると思った。

人は、誰もが「多重人格」 誰も語らなかった「才能開花の技法」 (光文社新書)
 

 この本は、著者の三部作の一冊である。

「多重人格」について、著者とインタビュアーが対談するという方式で書かれており、読みやすく理解しやすく書かれている。

そして、その方法を実行するかしないか、で、また変わってくるのだろうと思う。

 

例えば心屋仁之助さんの本だが、私の知りあいの中には「読んでも効果がなかった」という人がいる。また「お金に関係する本」と、聞いただけで拒絶する人もいる。

読んでも効果がなかったとか、書いてあることはわかるけど私には無理、という人もいる。

 

ところが「なんか知らんけど」で、学習(繰り返し読むとか復習するとか)していて、「まあ、そういうことにしておこう」と思っていたら、大金が転がり込んできたというケースも知っている。

 

つまり「やるかやらないか」(それもじっくりやるか)で、変わってくるのだろう。

 

さて、ここでいう「多重人格」とは精神の病ではない。誰もが色々な人格を持っているが、例えば話術の要諦は、人格の切り替えだという。

そして、ミュージシャンやアスリートは多重人格であるとか、一流の経営者は昔から「多重人格」であるとも書かれている。

そして、「才能」の本質は「人格」であるとも書かれている。

心理学用語で「ペルソナ」(仮面)という言葉があるが、この「ペルソナ」が硬いと、つまり、柔軟に複数の人格を使い分けることができず、一つの人格のみをメインにしてしまうと、才能を抑圧してしまうのだという。

 

そして、この辺りは操体法東京研究会の定例講習に出ている方ならば「なるほど」と思うところだと思うが、著者は「言葉の持つちから」についてもページを割いている。

 

講習の際「ぐ~っと」「ぎゅ~っと」とか、「難しい」「できない」という言葉を使うことをコントロールすることを学ぶのである。

言葉を制御できるものが賢人であり、言葉を制御できないものを愚者という、と橋本敬三先生も書かれている。

★かといって、我々もたまには使ってしまうことがあるが、そういう場合どうすればいいかということも学ぶことができる。

 

また、表層意識でアクセルを踏みながら、深層意識ではブレーキを踏んでいる人がいかに多いことか。

 

最近では、自信過剰で、打たれることなく社会に出て、上司に怒られただけで会社を辞めるとか、挫折経験がなく、いきなり大人になってから挫折を味わって、メンタルに問題が起こる、というケースもある。

 

そして、心の世界はそれほど単純ではない、人間の潜在意識や深層意識の世界は「天邪鬼(あまのじゃく)」だから、とも書いてある。

人間の心の世界は、比喩的に言えば、電気のような性質を持っており、プラスの電気、あるいはマイナスの電気だけが発生するわけではない。心の世界も、「プラスの思念」だけが発生するのではなく、同時に「マイナスの思念」も発生する。

特に、表層意識のところに、無理矢理「プラスの思念」を引き出すと。深層意識に「マイナスの思念」が生まれてしまうのだそうだ。

 

そして、インタビュアーが「簡単な方法はありませんか」と著者にたずねると、著者は

「どこかに簡単な方法がないか・・・」と考える安易な思考そのものが、実は、大きな落とし穴になってしまうので、その点に釘を刺している」と答えている。その上で、大事なことは

 

「言葉」というものの怖さを理解して、使い方を工夫することです。

 

とある。それも「無意識に使っている言葉」であり、世界を分節化(いいとわるい)にしてしまうその力であるということだ。

 

操体の臨床を行うにあたって、非常に役に立つと思うので、是非どうぞ。

 

以下が三部作残りの二冊である。この二冊も読んでみたが、個人の才能の育て方について、興味深いことが書いてあった。

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)

知性を磨く― 「スーパージェネラリスト」の時代 (光文社新書)

 

 

 

人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」 (光文社新書)

人間を磨く 人間関係が好転する「こころの技法」 (光文社新書)