操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体三様

先日、『カルチャースクールで操体をやる場合、やはり二人一組でやるのですか』という質問を受けた。



操体には大きく分けて3つの場がある。



1.臨床、つまり操者と被験者(患者)がいて、操者が動診、操法を行う場合

2.カルチャースクールなどで、インストラクターが不特定多数を指導する場合

3.指導を受けて、被験者が自宅などで、一人で行う場合



この3つである。



最初の2つはわかるが、カルチャースクールなどで行う場合、

操体は二人一組でやる(臨床)』という認識がある場合、やはりカルチャースクールでも受講生が二人一組になってやりあうのか?と思うらしい。



例えば、フィットネスクラブなどでは、不特定多数のメンバーが参加する。

一度きりの人、見学者なども含まれる。

このような場合、二人一組をつくってやる、というのは難しい場合が多い。

例えば奇数の場合や、人に、あるいは異性に触られることを嫌う場合もあるからだ。

なので、フィットネスクラブなどでは二人一組で操体法、という形態はまず取らないと思う。



また、二人一組での指導が考えられるのが、各種専門学校などでの授業などだが、この場合、指導者の目の届く範囲、手の届く範囲でないと、対人的操体指導は難しいと思われる。何故なら、操者のポジションから、介助法、速度、言葉の誘導など、変な癖をつけると後で直すのは大変だし、誤ったことをしている場合も見受けられる

からである。

操体臨床家のための指導が、大人数でできないのはこのような理由にもよるのではないだろうか。



また、

『受講途中で途中半端な者同士が集まって勉強会をするのは、却って害である』ということをよく言う。

先の理由同様に、間違った方法を覚えてしまったり、変な癖がつくと、修正が難しくなる。(このような例をいくつか見ている)





補足であるが、保健師が各地域をまわり、操体を指導しているというケースがある。

プロの指導者ならともかく、やはり保健師さんは操体を専業にしているわけではない。

話を聞いてみると、やはり二人一組にさせてやっているようだが、多くは『ここが痛いからやってくれ』ということになり、保健師が施術をするだけに終わってしまう、つまり、覚えるよりもやってもらいたい、というふうになってしまうこともあるらしい。





なので、大人数(数十人単位から数百人単位)を一度に指導する場合、

指導者は言葉(口頭の誘導)で、一人一人を指導するのが一番望ましいのではないだろうか。(勿論、大人数の場合はアシスタントが走り回っていてもいい)



ちなみに、一番レベルの高い指導は、2にあたる。

3ができなければ1はできず、1ができなければ2はできないからだ。