操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

きほんのきほん

操体法の基本の基本。



「鮒に始まり、鮒に終わる」という言葉を知った。

鮒釣りというのは初心者も比較的簡単に始められるのだが、やっていくうちに奥が深くなり、鮒釣りにおわる、ということらしい。



これは「般若身経にはじまり、般若身経に終わる」というということでもあるかもしれない。

私も最初は般若身経から入ったが、操体を勉強して12,3年経った頃、やはり般若身経は大切だと思うようになった。



実際、東京操体フォーラムや、カルチャーセンターで指導をしていると、できていない人は意外と多い。書籍にもよくのっているのだが、『基本だから簡単だろう』とスキップされているのだ。

多分。



また、般若身経が誤って伝わっていると言うことは、どうすればいいのかと思案するものだ。



その昔、ある操体の会の先生はかたくなに「つま先と踵は平行に」と、指導されていたという。これは正しい。



しかしその時、その会に関わっていた人が調べたところ、そのままだと股関節がおかしくなりそうだ、というメンバーが出たらしい。



現在、この会では、側屈を「脇伸ばし」と言っているそうだが、体重がかからないほうの足の踵は地面から浮かせないらしい。

(これは、明らかに側屈ではなく、高いところのものを取る姿勢だ)



何故かというと、股関節がおかしくなる、という人がいたので、手直ししたらしい。



この場合、「膝のちからをほっ、とゆるめる」という事が抜けていたに違いない。



足は腰幅、つま先と踵は平行に、背筋は軽く伸ばし、目線は正面の一点に据える。膝のちからをほっ、と抜いて親指の付け根辺りに体重がかかるようにする。付け加えるなら、掌は軽く外旋位とする。



膝がゆるめば股関節に負担がかかることは、通常だったらあまりない。

膝をゆるめずに、膝の裏すじをぴんと伸ばしていたら、確かに股関節に負担がかかるかもしれない。



これは自分もしていたかもしれない間違いなので、気に掛かる。

早く気づいてくれればいいと思う。操体をやっている者同士として、気になる。





操体関係者からの質問。



『ひどいO脚や内股の人はどうするんですか(足は腰幅、つま先と踵は平行、という指導に対して)』



ひどいO脚や内股の場合、明らかにボディの歪みがあるはずだ。

(ひどいO脚や内股で、ボディだけは歪んでいない、ということはあり得ない)



ということは、自然な立ち姿ができない場合もある。この場合、無理な足の姿勢を強要するのではなく、ボディの歪みが改善されるに従って、自然体がとれるようになる、と考えたほうが自然ではないか。



いずれにせよ、「足は腰幅、つま先と踵は平行、背筋を軽く伸ばして、目線は正面の一点に据える」というポジションをとると、膝を極端に曲げなくても、自然に膝が軽くゆるんでくる。

(試してみて下さい)



先日、操体の書籍のイラストを起こすための写真撮影でモデルをやった。

自然体や側屈、捻転を全身で体現するわけだが、これをしっかりやると、相当な運動量になる。あなどるなかれ。



自力自動(自分で自分のカラダを動かす)の操体法と言ったら、これなのだから。