操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

額関節

操体と顎関節症



不思議な事だが、ある愁訴を抱える人が集中することがある。

O脚などは季節もの(?)のせいか、春先に多いし、暮れは「今年の歪み今年のうちに」なのかどうか知らないが、そういう人がおおくなる。ぎっくり腰の方が集中する時は何故か集中する。



この二週間位は、顎の調子がおかしいという方が連続していらっしゃった。いわゆる、顎関節症である。



これは私の経験だが、肩がこるという場合(女性に多い)顎にも絶対何かある。



肩がこるからといって、揉んだり貼ったりするのは、一時的には安らぐかもしれないが、慢性的な場合は根本的な解決にはならない。



友人が顎関節症になった時、話を聞いてみた。

女性にありがちなのだが、堪え忍ぶため歯を噛みしめる、それも寝ている間に噛みしめていたらしい。この場合、『想』からアプローチしないと根本的な解決にはならないだろうと思った。



操体の同門の話を聞くと、渦状波(カジョウハ)を額関節に与えて良い結果が出たという話を聞いた。私の場合、まず動かしてみる動診を行ってみることにしている。最初から渦状波というのもいいのだが、動きを通せる方には通してみたいところだ。



といっても、動診の時、私達は「右手をきめる」とか「足関節を内反にきめる」のように、「きめ」を行うが、その時、皮膚に動きをつけているので、結果的に皮膚と筋骨格系両方にアプローチしているのである。



さて、先日いらした方は顎関節が主訴ではなく、腰が痛くて一週間程歩けなかったと言っていた。しかし、視診(形態観察してみると)鼻中線が曲がっていて、左右の額関節のあたりの形状が明らかに違う。軽くふれながら口の開閉をゆっくり試してもらうと、左右差がある。つまり、一つしかない口を開け閉めしているのに、左右の額関節が動くスピードが違うのである。また、カクカクいう自覚症状も確認できた。



この方は腹臥位が安楽であるということで、その形態から、腹臥位での足関節の内転を試してみると、これがラッキーなことに大当たり。

『こんな動き初めてです』と、快適感覚があると伝えてくれた。その後は反対側の外転、内転、両足関節の回旋などの動診を行った。結果的には額関節に触れることなく、顎のカクカクは解消した。



片方で噛むと痛いというケース。

額関節に触れて、口の開閉をお願いするが、そんなに左右差はない。

しかし、仰臥位になると、首が左側に傾く。明らかに首の左側が縮んでみえる。足関節の内反、外反を試したところ、きもちよさがききわけられた。その後、気になってい首の左側に触れると、上部頸椎のあたりに、大きな硬結が触れる。この硬結が解消されたあと、歯の感じを聞いてみると、噛んでも痛くないとの事だった。