操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

牽引と圧迫

下肢にしろ、上肢にせよ、牽引と圧迫は非常に面白い。

この2つはからだの8つの動きの中でも自力ではできないものであるから基本的に操者の介助、あるいは壁を使ったりする。

牽引をベクトルであらわすと←→

圧迫をベクトルであらわすと→←

となるのだが、



牽引と圧迫という言葉を「引き込み、押し込み」と置き換えるとわかりやすい。



仰臥膝二分の一屈曲位で、上肢を肩水平位におき、右腕全体を押し込むと、腰は左側に捻転する。

膝も左側に倒れる。今度は右腕全体を引き込むと、腰は右側に捻転する。当然、膝は右に倒れる。



本当は、手の小指側側(こゆびそくがわ)を押し込み、引き込みした場合手の親指側側(おやゆびそくがわ)を押し込み、引き込みした場合でも違ってくるのだがここでは触れない。

(「操体法入門」参照)



下肢の牽引と圧迫については、大抵は仰臥膝伸展位で行う。

この時、大雑把に「かかとのばし」とか「足伸ばし」という場合もあるが、ここが微妙なところである。



踵を伸ばすという指示が適当でない場合もある。この場合、「足全体を押し込む」という指示のほうが

適当だと思われる。



踵を伸ばす、あるいは突き出すという指示を与えると、足関節の背屈の連動を示す場合があるからだ。



右下肢の押し込みの場合、左下肢が骨盤のほうに引き込まれ、右体側が伸び、左体側が縮むという連動を示すが、

足関節を背屈様にすると膝が屈曲してきて連動が逆になってしまう場合もある。



「かかとを突き出す」という指示と、「足全体を押し込む」のは、同じように感じるかもしれないが、

厳密に言えば、まったく逆の連動を誘発する可能性もあるということだ。



こうやって考えると、受け手は操者の言葉の影響をいかに受けるかということがわかる。