操体法大辞典

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般若身経のとらえ方

般若身経の捉え方

般若身経は、「万病を治せる妙療法」に、『操体の基本運動』として紹介されている。なので体操のようなものだと思っている人も多い。



ケース1:般若身経=健康体操

ケース2:般若身経=身体運動の法則



この二通りの捉え方がある。私は師統(師匠の系統)に従って、ケース2と理解している。

ケース1の場合、両手を肩水平位に上げ、ばさっと落とすものや、足踏みをするのも含まれている。上げにくい腕側の足に体重をかけるという事は、側屈時の体重移動(腰の動きを『重心移動』、足にかかるのを『体重』とする)と同様の原理である。手が肩水平位なところと、手をばさっと落とすところが違う。

思うに、これは瞬間急速脱力を促しているのではないだろうか。他の動作は皆ゆっくりやると指示されているが、これだけ最後にばさっ、というのはやはり何か意図があるに違いない。



足踏み。これは橋本先生が患者によくやらせていたそうだが、目をつぶって足踏みすると、重心がかかるほうに自然と移動してしまう。診断法の一つでもある。また、操法が終了した後、足踏み、屈伸、歩行をさせるが、これは全身が動く。全身を動かしてみてから様子を見るのだ。なので、何故足踏みがこの中に入っているのだろうか。これも何か意図があるに違いない。



ケース2の場合、指導するのは腰を中心とした動き、前後屈、左右捻転、左右側屈の6つである。あとの牽引と圧迫は自力ではできないので、除外する。

また、前屈と後屈は対にされる場合もあるが、人間のカラダの構造上、ボディに歪みやトラブルがなければ、前屈のほうがやりやすいと思う。なので、前屈、後屈を比較対照しているのをたまに見かけるが、もうちょっと考えてもいいかもしれない。



また、この6つの動きは、からだの中心「腰」の重心移動が大切なので、「倒す」「曲げる」「捻る」という(前後に倒す、左右に曲げる、左右に捻る)ように

理解している(これも「師統」)。