操体法講習記録
操体法 講習記録
1月28日、操体法定期講習(特別養成講座:通称「特講」)第四日曜
毎月第二第四日曜に開催されている講習は歴史が長い。確か30年になるはずだ。今先生をはじめ、早稲田の石井康智先生、瓜生良介先生、根本良一先生、渡辺栄三先生、田村茂兵衛先生、はエドガー・ケイシー療法の福田高規先生、ヴォイス・パフォーマーの巻上公一氏などがいらっしゃる。また、東京操体フォーラムの実行委員は、ほぼこちらの講習の出身者でもある。
もしも貴方が臨床家であって、今の自分の手技、実力に自信があり、満足しているのなら、勿論操体を勉強することはない。
しかし、もしも『治す』ということ、テクニックを追うこと、痛みをとることに費やしていて、「操体」という言葉は知っているけれど、本を読んでもさっぱりわからない、というのだったら、実際の操体に触れてみるという手もある。
2007年度の東京操体法研究会定期講習は5月からの開講になる。
(勿論、私のところで、操体の基礎の基礎を一日かじってみる、という手もある)
講習に話を戻そう。
前回(1月16日の日記参照)に引き続き、第四日曜のクラスでは、臨床実技を見せる、というプロセスに入った。
今回、私が操者に指名され、先生が被験者(患者役)で実技を行うことに。
ポジションは、被験者、背もたれのついた椅子座位、操者は床に正座か胡座。
このポジションで「足関節の背屈」を指示された。
ほとんどは『足関節の背屈』と言えば、膝二分の一屈曲位での動診を思い出すだろう。
『つま先上げ』と言っている場合もある(私は言わないが)。
何故かと言うと、「つま先をあげる」という表現をすると、仰臥膝二分の一というポジション位しか思いつかないのではないだろうか。
伸展位ではつま先と踵の距離が長くなるため、やはり「足首を反らして」「足首を曲げて」となるだろう。
しかし、椅子座位での足関節の背屈は初めてだったので、先生に
『椅子座位での足関節背屈は初めてなんですが』と言うと
『オレも初めてだ』
との答え。まず、試してみるしかない。
この場合、ポジションを考えると、被験者が普通に椅子に腰掛け、操者が椅子の前に座り、お互いが対面するというポジションが考えられるだろう。
まずこれで10通り(もっとあるが)は考えられる。次に、被験者は椅子に腰掛けたままで、操者が被験者に背中を向けて行う。これも少なそうに見えるが6つ位はある。次に、被験者が背もたれのある椅子に逆(背もたれ側が胸側にくる)に座り、操者は椅子側を向く。これも最低6つは考えられる。
以上の動診を実際に試してみたが面白いことに、通常の「仰臥膝二分の一屈曲位」で行う足関節の背屈よりも「きもちよさ」が聞き分けやすいという結果となった。
私が先生に上記の動診を試してから(これは本当に勉強になった。というか、初めてやったのだが)、受講生が被験者役になって、足関節の動診を色々受け、その後の感想を述べ合っていたが、明らかに仰臥膝二分の一屈曲位で足関節の背屈を行うよりも快適感覚をききわける度合いと、その気持ちよさの継続が違う、という感想を得た。
椅子座位だけ、足関節の背屈だけでこれだけのバリエーションがあるのだから、これにポジション(立位、正座位、胡座位、つま先立座位、四つん這い、
仰臥位 仰臥膝二分の一屈曲位 、片膝二分の一屈曲位、仰臥位で足をスツールなどに乗せるポジション、長座位、側臥位、腹臥位、腹臥位膝二分の一屈曲位、ソファにゆったりともたれるポジション、あるいは被験者が一番安楽なポジションなどなど)の数を考えると、膨大な数の動診が考えられる。
介助、補助のしかたもそれだけバリエーションがある。
それにしても動診の数はいくらでもある(手関節は足関節よりバリエが多いと予想される)。カウントしたりすると気が遠くなりそうなのでやめておこう。
そういえば、前回秋の東京操体フォーラムで、実行委員による介助法というデモをやった。その時、立位両手合掌での手首前腕の左右回旋を見て
『立位で操体ができるとは思わなかった!』と驚いていた人がいた。気持ちはわかる。最初は誰でも仰臥か伏臥を思いつくのが普通だ。
いかなるポジションでも分析可能、というのが操体動診のすごいところだ。
15年も操体を勉強していても、まだ『操体ってすごいなぁ』と思う。
『操体は面白いぞ、一生遊べるからな』by 橋本敬三医師