操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

言葉の誘導と潜在意識への働きかけ

操体医科学研究所@書庫(当ブログの姉妹版)にも書いたのだが、苫米地英人さんの本を読んだ。そこでインスパイアされたこと。



操体における言葉の誘導についてだった。どういうことかというと、本人がききわけた感覚を言葉に出すこと、あるいは厳選した言葉を用いた誘導語で「からだにききわけさせる」という工程はもしかしたら、深層意識、潜在意識に大きなインパクトを与えているのではないか、また、操体の効果があるのはそれも関係しているのではないか、と思ったからなのだ。



運動系(皮膚も含む)を動かしつつ、言葉の誘導(それも感覚のききわけをとらせているところがポイント)をするという二重構造、それが操体の効果なのかもしれない。



何故かと言えば、言葉の誘導が上手くないと臨床効果も上がらないような気がするのだ。



また、カルチャーセンターなどで大人数を相手に言葉の誘導だけで操体の指導を行う場合があるが、これは一番難易度が高いと言われている。ひとりひとりを触って指導するわけにはいかないのだ。



例えば、K先生は『患者さんの意識を変える(心を変える)』ことをする、と言われていた。この前先生の臨床を見る機会があったが、二者択一の『楽か辛いか』という問いかけと、一極微の『この動きにきもちよさがあるかないか(この動きはきもちいいのかどうなのか)』という問いかけの使い分けを絶妙にされていた。



「言葉は運命のハンドル」とも言うし、心を平安に保つには、言葉を統制するとも言う。言葉を統制できない者は「愚か者」だとも言う。橋本先生が『言葉を統制せよ』と言われたのも、口からでる言葉の威力をご存じだったからだろうと思う。