操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

対談@操体

昨日、東京新宿医道の日本社にて、三浦寛先生&今昭宏先生の対談が行われた。



今先生は近々同社から出版される操体の本の最終打合せで、仙台から上京。9時半に今先生を東京駅まで迎えに行って、新幹線が着くまでホームで幕の内とか食べてみたりする。



今先生が赤門で鍼灸を勉強している時、赤門にあった「操体法研究会」に東京から来た講師、それが三浦先生であり、それから毎月1回三年間東京の講習に通い、三浦先生の紹介と勧めで温古堂(温古堂診療所:橋本敬三医師の診療所)勤務になったこと、勤務初日のその日橋本敬三先生から「今君、患者には原始感覚以外教えるな!」という言葉を頂いたカミナリ事件の事などが和やかな雰囲気の中で語られた。



このあたりは操体が「楽」から「快適感覚のききわけ」にシフトしたあたりの話。

(私はビデオを回し、写真撮影をしていた。お陰さまでいい写真が撮れた)



皆そうなのだが、大抵は橋本先生の「万病」とか、茂貫先生の「操体法の実際」が手にとりやすい(し、写真が載っている)ので、大抵それを買うかまず最初は「どっちが楽ですか、辛いですか」と二分の一屈曲位で膝を左右に傾倒するとか、足関節の背屈(つま先を上げる)とか、伏臥で膝を腋窩に引き上げるとかここら辺から始める。



別に痛いことや辛いことを無理にするのではないから、そこそこ効果はある。



しかし、やっていくと、壁にぶつかる(今先生は『楽なほうに瞬間脱力は飽きちゃう』と言われていた)。

・・・そういえば私も昔やっていたが、確かに飽きる。何故飽きるかというと、回数も操法の選択も

操者が決める(いえ、決めつける)ので、確かに飽きるのは事実だ。もっとレベルアップしたものを勉強したいと思うのだ。



それから今先生の講習の話。

『上手い人とそうでない人は、触れた瞬間からちがうんだよね』

『やってることは同じなのに、受けている人の感覚が全然違う』

『その感覚を伝えるのが難しい』

『教えてみて、操体ってものすごいことをしてるんだよね。橋本先生は簡単だ、って言ってたけどね』

『橋本先生は患者さんの意識を一瞬に変えてしまっていた。意識が変わると身体も変わるんだよね』



三浦先生の話

操体を勉強すると、他の療法がわかってしまう。理解できてしまう』

また『操体法治療室秘話』など。



最後に、最近一番のトピックである『皮膚』の話になった。

私は双方の先生から皮膚への操法を受けたことがある。

同じ皮膚へのアプローチだが、感じが全く違う。

三浦先生の場合、動きがつく前に感覚がつく感じ。今先生のアプローチは感覚の前に動きがついてくる『ような』気がする。いずれにせよ気持ちいいのだが。



三浦先生は足のサイズも大きいし手も大きい。今先生の手は意外と小さい。しかし、二人とも手が『練れている』感じ。



不思議なことに、同じように触れても『はまってる』と『はずれてる』というのは、受け手が一番よくわかる。

触れられる場合、一ミリ違っても感覚が全く違う場合もある。

(この力を訓練する方法があるのだが、サブジェクトが違うので、ここでは触れない)



最初、三浦先生が今先生の手に触れる。最初は「面」でのタッチ、次は「点」でのタッチ。

次は今先生が私のふくらはぎに触れる。

ふくらはぎの皮膚を内側と外側に「ずらす」(衣服の上からでも可)。明らかに外側のほうがいい感じだ。そのうち寄りかかっている(私は椅子に座って壁に寄りかかっている)背中がいい摩擦になってからだが右側に動いてゆく。今先生の身体も一緒にすこしづつ動いている。多分、今先生の動きのほうが、私の動きよりわずかに速い時間がピンポイントであって、動誘と介助が微妙に入り交じっているので動きが出る、あるいは触れた皮膚で動きを微妙にコントロールしているのだと思う。



私の後に編集のMさんがモデルになり、私と同じく今先生が左のふくらはぎにふれる。

『(皮膚を)外側と内側(に動かすの)では感覚が全然ちがいますね』

『何だか動きがついてきましたよ』

と、不思議な感覚を味わっていたようだ。



こうして対談は無事終了。

その後ランチに行って、私は仕事のため戻ることに。その時、医道の日本社の前の道路に白いシャツ姿にメガネとヒゲの男性が登場した。午後これから今先生と本の打合せに京都から来た、まるずみかずお氏だ。

操体法治療室』のイラストを描いた人、と言えばいいだろうか。今度出る本はイラストをまるずみ氏が担当している。



8月には三浦先生の新著が出る。

今先生&まるずみさんの本と、三浦先生の本は同じ操体の本だが、ターゲットが違う。一般の方にもわかりやすいように書かれているが、そりゃお二方とも仙台の温古堂にいらしたので、『きもちよさ』とい観点から本をかいてらっしゃる。イラストも実技書的イラストではなく、まるずみ氏のほんわかした感じ。



三浦先生の新著は実技解説書。

連動、および今まで明らか(?)にされていなかった介助法が紹介されている。私がはじめて師匠の介助の仕方を習った時(すでに操体歴数年)、セオリーは分かっていて

たようなこと(どちらかというと、皮膚をずらすとかそんな感じ)をしてはいたが、あまりに理に適っているので「すごい・・・」と思った記憶がある。

例えば足関節の背屈に介助を与える動診操法がある、膝二分の一屈曲位で膝を倒す動診操法がある、ということは皆知っているのだが、『実際どうやって、どのくらいの力で、どれくらいのスピードで、どのように介助を与えればいいのか』ということを解説した本はなかった。



なので、世の中の相当数の人は『理に適った介助』をしていないと思う。

(それで、気持ちよさを導くのは難しい、とか、効果がない、とか言われると困るのだが)



この理に適った、というのは『身体運動の法則(重心安定の法則・重心移動の法則)に』に沿ったということだ。



ちなみに、イラストのモデルは私である。

写真をとってからイラストに落としてある(顔は描いてありません)。なお、イラストはレオタードを着ているが、別にレオタードを着て写真を撮ったわけでは

ありません。イラストを見ると『ああ、これって完全にワタシだよ・・・』と思うのだった。写真を撮った当時、ベリーショートにしていたので、その頃のアタマが懐かしい。



2冊とも発売が楽しみだ。











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