操体法大辞典

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操体講習記録・足趾の操法

臨床講座

「足趾(そくし)の操法」というものがある。橋本敬三先生が70歳から75歳の間にされていたと聞いているが、出所(でどころ)は当時温古堂に出入りしていた、足心道の先生の影響らしい。私自身足心道についての詳細は知らないが、その名の通り、足を操作するものである。知らないので、足心道と操体の足趾の

操法がどう違うのか、その違いは書けないが「足趾の操法」は非常に気持ちいいということは事実である。



足の指は手の指のように細かくは動かせない。また、自分で動かせるにも限度があるので、こればかりは操者が行うことになる。というか、これは被験者がひたすら味わえばよいのである。よく「足趾の操法を自分でやってもあまりきもちよくない」という話を聞くが、それはもっともなことで、きもちよさを委ねる、という行為自身がきもちいいのだと思う。



橋本先生は、「ゆらす」「落とす」「もむ」の3通りをされていたそうだ。私が習った限りでは、これに加えて、足底をもむ、など加えると、7通り位ある。この3種類はビデオにもおさめられているが、実は見たのとやるのとでは大違いなのである。大違いというのは、実際にクライアントを「きもちいい」と言わせるには練習が必要だということなのだが。



更に最近はより快適感覚のききわけを促進するため「納め」というものも取り入れており、クライアントの呼吸を見ながら操作するということもやっている。



足趾の操法は、深いリラックス効果をもたらす。足の指などは普段忘れがちなところである。また、水虫になったり、臭いが気になるところでもあるが、普段忘れられている分「きもちよさ」が潜んでいるところでもある。また、足趾の操法を行う際には靴下を脱いでもらうのだが、足の甲や足底を見ると何とはなしであるが「元気の度合い」もわかるような気がする。世の中には手相ならぬ足相を研究している方がいるというし、橋本先生も体重計を二つ置いて、片方ずつの足にかかる体重の差を患者に示されていた。

また、末端から動かすということを考えると、足関節のみならず、足趾は一番の末端関節だ。



足趾の付け根辺りに触れると、半米粒大程のしこりに触れることがある。これは小さい割に、滅法痛いものだ。また、不思議なことに、足趾の裏側や側面はいくら強く押しても、痣になったりしない。皮膚が強いのかもしれないが、その割には非常に感覚が鋭いところでもある。



それはさておいて、「落とす」「ゆらす」「もむ」の中で、一番きもちよく、しかし上手くやるにはコツがいるのが「もむ」である。



私も普段日常的に仕事でやっているのだが、たまに師匠のチェックを受けるのは勉強になる。

(というか、手指が短いので『足趾(あしゆび)廻し』のほうが得意なので、こちらが結構メインになっている。『足趾廻し』は、スペースが狭いとか、病院のベッドなど、スペースに限りがある場合には有効である。ちなみに私は『足趾廻し』のバリエは沢山持っている)



もう少し動き幅を小さくとか、細かいチェックを受けることは必要だ。自分も人様に教えているわけだから、常にブラッシュアップは必須なのだ。



「もむ」。これは足の指の付け根に心地よい刺激を与える。以前、クライアントに『生きててよかった』と言われたことがあるが、結構本質を突いていると思う。ヨダレが垂れる位きもちいい、とか、うとうとしてしまうくらいきもちいいというのは実際本当のことなのだ。



というわけで、モデルをしていて、一瞬意識が飛んだ(笑)



加えて言えば、いつも人様にはやっているのだが、自分が受けるということは余りないような気がする。というか、受けると「自分はこんなに気持ちいいことをしているんだ??」と、改めて驚いたりもする。



コツはおそらく、丁寧にゆっくり時間をかけて、ということかもしれない。まりさっさと済ませると、足趾の操法のじんわりとした良さがわからないかもしれない。あと、スピードが速すぎるのもよくないと思う。更に言うなら、操者は小指を直接用いるわけではなkが、小指は効かせてやるのがポイントだ。←重心安定の法則



足趾の操法を受けると、お腹がグルグル鳴ってくることがよくある。お腹と繋がっているのだろう。

また、頑固な便秘だったのだが、足趾の操法の後に通じがついたという話は結構よく聞く話でもある。