操体法大辞典

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講習記録 側臥位

側臥位



古典的(二者択一:どちらが楽か辛いかの運動分析をして、楽なほうに動かして瞬間急速脱力に導く)な操体を考えると、仰臥(膝二分の一屈曲位、あるいは下肢伸展位)、伏臥(膝二分の一屈曲位、あるいは下肢伸展位)、腰掛位(椅座位)、正座位、正座つま先立位(というのか?)などが考えられる。



これは私も10年程前に考えており、1999年に出した「ふわ、くにゃ、すとん、操体法」(今考えると、瞬間脱力っぽいのでちょっと恥ずかしい気がする)には、『エビ』という横臥位でからだをエビのように曲げて、一番楽なところで保持する(この時は

まだ、快適感覚をそこまで突っ込んでいない)』というのがある。

これは、普段ぎっくり腰の人などを診ていて、仰臥や横臥、腰掛位もとれず、横になってカラダをエビのように丸めているのが

一番ラクだ、というクライアントに試してみたのが始まりである。



それを考えると、何で操体のポジションって、横向きがないんだろう??と思っていた。



しかし、その「何で?」を私より15,6年前に考えていたのが師匠である。



何故、操体には側臥位の動診がなかったのか????



それは、側臥位だと左右比較対照ができないからなのだ、と気がついたのだそうだ。横臥位だと、『膝をどっちに倒しやすいですか?』とは聞けないではないか。



***



当時、自分が考えていたのは、『横臥位というのは、倒れやすいほうにおもいきり倒れた姿として認識してはどうか』

ということだった。その時、連動に規則性があるとはまだよくわかっていなかったが、仰臥で膝二分の一屈曲位で

膝を左に倒すと、連動によって、首は反対側を向き、左手は外旋、右手は内旋するということは何故か知っていた。なので、左側を下にした横臥位は、膝二分の一屈曲位で、膝を左に倒した姿ではないか、と考えたのである。



それで、上肢を回しやすいように回してみたり、色々試行錯誤した。うまくいったもののあったが、いかなかったものもあった。

今考えると、連動の応用だったのだが、『きもちよさ』ではなく『ラク』をききわけさせていたので、それほど効果が出なかったのかもしれない。



いずれにせよ、いい勉強をしたと思っている。



というわけで、今回の講習では、横臥位(側臥位)での、上肢の外旋・内旋と、両手合掌左右回旋、右手外旋・左手内旋、右手内旋・左手外旋etcというバリエーションを試した。



なお、注意点としては、横臥位なので、末端介助がしっかりできている必要性がある。操者の介助法と、操者の動く早さがポイントだ。(見るとやるとでは大違いなのである)





逆に言えば、昔誰かから『操体は横向きでは出来ない』と言われたこともあるが、二者択一(比較対照)の動診だけではなく「一極微(いちごくみ)」の動診を行えばどんなポジションでも分析可能だ。



例えば、被験者が

・四つんばい

・仰向け膝二分の一屈曲で膝から下をスツールやベッドに乗せる

・同上の姿勢で、足底を壁につける

・被験者が椅子に腰掛け、操者は被験者に背中を向けて床に正座位をとる

とか「?」というポジションまでカバーできる。