操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

区別をつける

・講習の時に、たまに『この人は勉強に来ているのか、それとも操体を受けに来ているのか』と、思う事がある。個人レッスンならば受けながら学ぶというのはよくある話だが、集団レッスンでは

如何なものだろう。

こういう事が怖いのは、教室中に『そういう感じ』が伝染するということなのだ。



・別の話になるが、講習の中で、例えば指導者が『重心安定の法則』について話しており、前後屈、左右捻転、左右側屈など、何らかの動作をとらせ感想を聞いた時に『きもちいいです』と答えること。これは変だ。何がヘンなのかと言うと、指導者は『これこれこうすると、体重がスムースに移動する。体感した?』のように、身体運動の法則について問いかけている、つまり、きもちよさをききわけなさいとは問いかけていないにも関わらず、きもちよさの有無を答えるのはちょっと的外れだと言っているのだ。



★一般の方に指導しているならこれでも構わないが、「指導者になるために」勉強しているのだから、そのあたりの認識は必要ではないか。まず、覚えるためにポジションや形を勉強しているのだから。そこの区別をつけよう。



・付け加えると、介助の『与え方』の練習をしているのに、相手に『今のはきもちよかった』と、答えるのもナンセンスである。実際の臨床を受けているのならこれでも構わないが、組んだ相手とは、介助法の練習をしているのである。相手には『今の介助はこれこれここがもう少しこうだったらよかった』と、感想とアドバイスをすべきである。これは臨床ではなく練習なのだから。

介助の練習は「きもちよさを味わう」ためのものではない。介助の練習なのである。『きもちよさをききわけて』という指示がでるまで、練習ではお預け。



何故私がこういう事を書くかというと、

『区別』をつけることはプロとして大切だから。

練習・勉強をしにきているのか、それとも操体を受けたいのか。

そんなところなのだ。

どちらも大事だが、勉強する時は勉強して、受ける時は受けよう。

そういう区別があなたをプロにするのだ。