操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体法と触診(診断・分析法)

先日(11月16日)の講習では、触診の復習を行った。

操体では「視診」「触診」の他に操体独自の分析法である「動診」が加わる。この「動診」が操体の特徴であるが故に、「視診触診」はしないのかと言えばそうではない。



『視診触診』が可能なことを前提として『動診』がある。

『動診』の前にやはり視診と触診は必要なのである。



そして、視診触診は学校ではしっかりと教えてくれない。学校は試験に受かるための勉強をするところだ。以前、柔道整復の学校に行っていた受講生に『授業で視診触診する?』と聞いたら『しませんねぇ』という答えが返ってきた。

また、受講生の中には、鍼灸師や柔道整復師もいるし、その他の手技療法の専門学校に行ったというメンバーもいるが、視診触診について本格的にしっかり習ったという話はあまり聞かない。OJT方式(on the job training)で覚えなさいという感じか。



さて、操体では指尖(しせん)を用いて触診する。私が習ったのは「おこっているところ」すなわち炎症があるとか、あきらかにそこに何かあるところと、「弱っているところ」があるということ。

おこっているところは、比較的誰にでも見つけやすい。しかし、本当に診なければならないところは「弱っているところ」にあり、それもその「弱っているところ」の中に米粒半分位の小さな硬結があるのだ。これにぴたっと当てるべし。



弱っているところの触診ではないのだが、操体で有名な触診と言えば、

膝窩ひかがみの圧痛硬結に触れることである。これも実はちゃんとした橋本敬三先生ゆずりの流儀がある。ただ単に膝裏に手をつっこんで診ればいいというわけではないのだ。また、からだのどこかがおかしいとか不調がある場合、絶対ここに圧痛硬結が存在する。ボディの歪みを写し出す「膝の鏡」だから「ひかがみ」という説もある。



というわけで、受講生は「触診」に立ち向かうわけなのだが、(また、毎年それに立ち会うのだが)最初はなかなか膝の裏の「ゴロン」とした硬結に触れることができない。そして触れることができず頭を「?」と捻っている受講生がいると、師匠から『畠山センセイ、お手本』と言われ、膝裏に手を差し込み、膝窩の硬結に触れて、「いたたた」と言わせることになる。



つづく