操体法大辞典

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操体の盲点

さて、先日の仙台全国大会で、奈良のK先生の発表の後、長野のS先生が挙手質問された。『(今のスライドの患者さんのように)動いてくれればいいんですが、動いてくれない、あるいは動けない場合はどうすればいいんですか?それが一番困ることなんです』



確かに、K先生の発表スライドでは、患者さんに手を触れずに、指導者の口頭指示のみで自力自動のバック運動をとらせていた。



S先生の質問はもっともである。実際のところ、体操教室や、動きに慣れた人を相手にするのだったら、口頭での自力自動指導も可能であり、有効だとう。しかし、第一、第二分析において、『動けない』ケースは必ずあり、それが操体の盲点でもある。



この時のK先生の回答は『猫でも、犬でも、鳥でも、8歳の子供でも動けますよ』ということだった。



う〜ん、動けない、動きをとれない方はどうなるのか。猫や鳥、犬や8歳の子供という引き合いではなく、いわゆる『原始感覚』が鈍っていて、動きをとれない場合、あるいはパーキンソンや麻痺などで動けない場合はどうするのか。もう少し、そういうところに突っ込んだ回答が聞ければよかったと思う。



また、動ける方だけ相手にしていれば指導内容も難しくはないと思う。例えば、カルチャーや健康体操教室、道場などにはそこそこ動ける人が来る。しかし、我々のところには、その前段階、つまりカルチャーや健康体操教室に行けるようになりたい方々が来るのである。



動きをとれない、感覚のききわけが難しい場合、やはり第三分析が必要になってくる。