操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体と整体を組み合わせる?

 「整体と操体を組み合わせてやっています」という話をたまに聞くことがある。これは個人的な意見だが、組み合わせるとかえってややこしくなるのではないかと思う。

操体と整体で共通していることは、最後には自然治癒力を高めて快癒に導くことだが、一番違うのは、操体は患者(被験者)自身が医療者の立場にたつ、ということだ。整体もそうだが、殆どの治療というのは、先生が診断し、先生が治療(施療)し、結果を出さなければならないということだ。
勿論操体も結果を出すのは大切だが、操体は本人にしかわからない「感覚」をききわけることが
「診断」であり、快適感覚を聞き分けたら、それを味わうことが「治療」である。

経験からいって、整体と操体を組み合わせているというところでやっているのは、膝を左右に倒して、倒しやすいほうに動かして瞬間急速脱力させるか、足関節の背屈か、伏臥膝関節腋窩挙上か、根本先生や、故滝津弥一郎氏のところで教授していた、果てしなく他力に近いものである(何故かというと、私も最初にならったのはこれだったから)。

そうやって考えると、なるほど、操体と整体をミックスするとはそういうことか、と気がつくのである。

「可動域が大きいほうがきもちいい」という思い込みは誰でも最初はすると思う。師匠もそうだと言っていたし、私も「そんなものかな」と思っていた。しかし、可動域がおおきくても「楽でなんともない」じゃん、ということに気がついてしまうと、「可動域が小さくてもきもちよさがききわけられる場合もある」ということにも気づく。