操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

目的に応じた操体。操体法の学び方

操体の3つの場
まず、操体って何だろう?と思ったらまず受けてみて下さい。色々なサイトもあります。でも、注意していただきたいのは、「操体をやっています」といっても、色々あるからです。こればかりは紛れもない事実です

目的に応じた操体

操体を受ける場合、大きくわけて3つの場があります。

患者と操者が一対一で向き合う臨床
スポーツクラブ、カルチャーセンターなど、指導者が不特定多数を口頭指導する場合
自宅や職場など、自力自動のセルフケアを行う

もうひとつ、操体に関わる場合の分け方として、操体の学び方、というものがあります。

患者として、どこか症状疾患を抱えていて、操体を受けたい。そして自分でセルフケアできるようになりたい
手技療法、鍼灸師、柔道整復師、指圧あんまマッサージ師、理学療法士、をやっているが、操体を学びたい
手技に関しては素人だが、操体を勉強して操体のプロになりたい
これらの「場」と「目的」がしっかりしていれば、どうやって操体に接していけばいいのかわかります。


操体の世界は非常に不思議なところがあります。本来はドクターが臨床でやっていたものなのですが、(1)の人口が非常に多いため、「操体とは健康体操だ」と思われている節もあるのです。

また、橋本先生が操体でブレイクしたのは80歳の時。その時やっておられた3つの動診・操法が有名です。
・仰向けで膝を曲げて左右に倒すもの
・仰向けで膝を曲げ、膝の裏に圧痛硬結があるほうの足首をそらすもの
・うつ伏せで、どちらかの膝を曲げ、膝を脇のほうに引き寄せるもの
これらは、橋本先生がお年を召されてからということで、70代の頃はもっと色々な動診・操法をされていたそうです。
これらが余りにも?メジャーなため、操体ってこの3つだと思っている方もおられますが、そんなことはありません。

操体の「学び方」に戻りましょう。

(1)の場合は、各地に「○○操体の会」というのがあり、生活の中に活かせる操体を広めています。ヨガや体育の先生で、ご自身が操体を学び、それを生徒さんにやってあげたい、という方もおられますが、その場合、やはりある程度時間をかけて学ぶ必要があるでしょう。

自分でできるようになるのと、他者に指導できるのとでは、スキルの差が違うのです。

(2)の方々は、国家資格あるいはスポーツ系の資格や手技療法の勉強、臨床経験をある程度積んでから勉強をするので、その分時間的には有利です。しかし大抵は「症状疾患別」という勉強の経験があるため、操体の「症状疾患にとらわれない」「快適感覚をききわけ、味わう」というセオリーに最初はとまどう場合もあります。
また、前情報が入っているため「楽と快の違い」を混同されており、それで悩んでいる方も多いのです。

(3)の、手技療法に関しては素人だが、操体を専門に勉強して、操体のプロになりたい、という方々がいらっしゃいます。本来は(3)の、まっさらな状態から操体を勉強するのが一番いいのですが、視診触診、生理学の勉強などが臨床家としてのコアスキルが不足しているため、その勉強に時間がかかります。

特に最近深刻だなと思うのは、視診触診のスキルです。鍼灸師や柔道整復師の方に聞いてみると、学校は国家試験に受からせるための学校であり、視診や触診などの診断分析法には力をいれていないのだそうです。

他の手技療法を学んだ方に聞いてみても「視診触診はできて当然」というスタンスから始めるため、とにかく触診ができないのだそうです。視診触診ができずに、テクニックだけ教えろと言われても、それは学びの順番が違うということでしょう。