操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体と操体法の違いを明確にする

 常々「操体法」とは、橋本敬三医師が臨床で行っていたことを指し、「操体」とは、橋本哲学を含めた広いものを指す。橋本敬三先生ご自身も「操体操体法は違う」と言われていたそうである。

私は「臨床のみ」ではなく、広く橋本哲学まで含めたものを学んでいるので、大抵の場合「操体」と言っている。

★なお、SOUTAIかSOTAIか聞かれる場合があるが、英文の文献にはSotai と書かれているうえ、SOUTAI と Uが入るとイントネーションがUにかかる。そうなると、博多弁の「そうたい」と同じ発音になるが、東北だったら絶対博多弁サウンドの「そうたい」にはならない。なので、Uが入らないSOTAIが妥当であろう。

たまに全国大会などで、関西の方が「そうーたいほう」という言い方(う、の後を音を伸ばす)というのを聞くが、ヘンな感じである。
やはり、東風に「そうたい↓」とか「そうたいほう↓」と言うのがしっくりくる。

さて、「法」がつくと、どうしてもテクニック的なイメージを持たれるのは当然のことだからということもある。私は操体をテクニックだとか技術だとは思っていないからだ。

また「操体法」という方に聞いてみるとやはり「テクニック」として操体を捉えている方が殆どなのではないかと思ったりもする。

まあ、もともと「名称なんて関係ない。真理が大切なんだ」と、橋本先生は言われていた。DVD「橋本敬三の世界」(NHKで放映されたドキュメンタリー。敬三先生79歳)には「操体」という言葉は出て来ない。
「橋本さんの治療法」となっているのだ。その後「名前がなきゃ困るよね」ということで、「体操と違うから、さかさにして『操体』」としたという説を聞いたことがある。
命名したのも、川上吉昭教授だと聞いたことがある(本当かどうかは知らない)。

ところで、昨年仙台で開催された「全国操体バランス運動研究会」が開催された。テーマは「橋本敬三の心」。
様々なゲストスピーカーが話をした。

橋本敬三先生の本で、一番売れていると言ったら、農文協の「万病を治せる妙療法 操体法」だと思う。この本は「現代農業」に連載されていたものをまとめたものだ。
橋本先生は、長いこと医学会に自身の理論を発表し続けてきたが、それがなかなか認められない頃で、その時「素人向けの連載の依頼が来た」のこれである。
その時の編集者、栗田庄一氏によると「現代農業」への連載タイトルを考えていて、語呂の関係から「操体のすすめ」ではなく「操体法のすすめ」にしたという。橋本先生にも「操体法にしてもいいか」と聞き、許可を得たそうである。

そしてやはり、操体ファンの間では「法」とつけるとテクニックみたいだ、とかテクニックオンリーのモノだとおもわれるのではないか、という懸念の声もあったらしい(地湧きの思想2より)。
もともと「息食動想+環境」という基礎があるのに「法」をつけると「動」の部分にのみ注目が行くからだろう。