操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

レポート Sotai Forum Madrid

2011年9月24日、25日の二日間、昨年に引き続き"Sotai Forum Madrid 2011"が、スペインのマドリッドで開催された。

今回は三浦寛東京操体フォーラム理事長)、福田勇治(東京操体フォーラム理事)、畠山裕美の三名に加え、パフォーマーとして歌手のさがゆき氏が参加した。
会場となったラファエルホテル・アトーチャの会場は、ステージと聴講席を前方に、後方は実技指導のために、マットレスが用意された。現在スペインで広まっている操体は、日西指圧学院の小野田茂先生が30年前に操体法東京研究会の定例講習で学んだものが中心となっている。対なる動きを比較対照し、楽な動きを選択し、瞬間急速脱力に導く第1分析の動診と操法である。いずれにせよ、日本とは30年のタイムラグがあり、その間に第1分析も洗練されてきている。また、言葉の壁という問題もあり、先ずスペインでは操体の基礎である第1分析を、操者の動診、操法に対応すべき「作法」と共にしっかりと根付かせることを目的とした。

今回、新たに明確にしたのは、「操体」と「操体法」の違いである。日本国内でもこの二つの認識が不十分である。「操体法」というのは、あくまでも、橋本敬三医師が行っていた臨床の部分を指しているが、「操体」は、橋本医師の説いた自然法則、橋本哲学(救いと報い、生命観、死生観など)を含めた広大なものである。受講生には、「法」(テクニック)ばかり追い求めるのではなく「操体」の全体を学んで欲しいと伝えた。

初日前半は、畠山による自然体立位の実技指導にはじまり、膝窩(ひかがみ)の触診法、足関節の背屈、膝の左右傾倒など、よく知られている動診と操法を紹介し、操者のポジショニング、介助の方法、操者の重心移動など、の指導を行った。午後後半は、畠山を被験者役、三浦が実演を行い、質疑応答に時間をかけて夜8時に終了となった。翌日25日は、主に三浦が福田を被験者役として、第1分析の様々なバリエーションを見せた。よく知られている、仰臥膝二分の一屈曲位での足関節の背屈、仰臥膝二分の一屈曲位での膝の左右傾倒などの他に、伏臥位での下肢伸展、伏臥位での膝二分の一屈曲位での膝の傾倒、伏臥位での足関節の内転、外転など、海外では殆ど紹介されていない動診と操法が紹介された。

引き続き足趾の操法の中から「落とし」「ゆらし」の2種の実技指導を行った。足趾の保持方法、操者のポジショニングなど、再確認事項の確認に時間を割いた。最後にさがゆき氏による完全即興のパフォーマンスが披露され、参加証の授与式を終えて、二日間のフォーラムが終了した。