操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

千葉周作。

 時代劇が好きだ。福田画伯は千葉真一先生のJAC系時代劇が好きだそうだが、私は葉村彰子系と必殺系が好きだ。この点で既に相当マニアックだが、先日「千夜千冊 遊蕩編」の1252夜「守破離の思想」を読んで 非常にインスパイアされた。「守破離」を改めて考えたのである。ここ一ヶ月の私は「守破離」を考え続けているのだ。
できれば、上記サイトをプリントアウトしてじっくり読んでいただきたい。何かを「学ぶ」という姿勢と、弟子と師匠というものが見えてくると思う。

その中で北辰一刀流千葉周作の「剣法秘訣」が紹介されている。
私にとって「千葉周作」と言えば「江戸を斬る?」で中谷一郎が演じていた周作である。
中谷一郎と言えば、水戸黄門の「風車の弥七」だが「江戸を斬る?」でも中谷は弥七と同じヘアスタイル(ヅラ)であった。勿論着物は弥七スタイルではなく、剣術家の格好で、確かおゆき(西郷輝彦演じる遠山の金さんの未来の奥さんで、魚屋の娘として乳母に育てられたが、実は森繁演じる水戸斉昭公の息女)が、剣術を習っていたのではなかっただろうか。

また、私は全然知らなかったのだが、周作は「宮城県気仙村」の出身と書かれていた。気仙村とは、今の気仙沼と本吉郡を含む。気仙沼と言ったら先の震災で津波被害に遭ったところだが、私の両親の出身地でもある。しかし、気仙沼近辺で「千葉周作の出身地」という話は聞いたことがない。もしそうであれば、土産物とか観光のネタになっているはずなのだが。また、もう一説では「宮城県栗原村」というのもあるらしい。こちらは偶然にも、わが師匠三浦寛先生の出身地である。聞いてみたが「聞いたことがないなぁ」という返事であった。そこで紹介されているのが、山岡荘八文庫の「千葉周作」である。早速買って読んでみた。

こちらでは、周作の出身地は栗原になっている。血気盛んな若者時代から、江戸に出て腕を磨く様子が、周作に恋慕する三人の女性の話を絡めて進んで行く。この中で、周作は何度か立ち合いをするのだが、重要なのは技の修業のみならず、心の修養だとういうことが繰り返し描かれている。師匠が「お前のつるべは凍ったつるべだ。それでは私の井戸は汲めん」とか言われ、周作が成長するにつれ「お前は私の井戸をようやく汲めるようになったな」という「井戸」という言葉が印象的だった。

その、千葉周作が書いた「剣法秘訣」の中に書いてあることを、松岡正剛氏が解説している。

稽古とは何かを説いたもので、そこに「序破急の拍子を追うよりも、守破離の筋目を通すことが稽古に欠かせない」という、守破離の思想にずばり突っ込んだ興味深い説明が示されている。

守破離といふことあり。守はまもるをいふて、その流の趣意を守ることにて、一刀流なれば下段星眼、無念流なれば平星眼にてつかひ、その流派の構へを崩さず、敵を攻め打つをいうなり。破はやぶるといふて、左様の趣意になじまず、その処を一段破り、修業すべきとのことなり。離ははなるるといふて、右守破の意味も離れ、無念無想の場にて、一段も二段も立ちたる処にて、この上なき処なり。右守破離の字義、よくよく味はひ修業肝要なり。 

序破急は拍子であって、守破離は筋目なのだ。うーん、なるほど、これはまことに適確な言い方だった。拍子も筋目もどちらも肝要だが、筋目を知って拍子を打てばもっといい。周作はそのことに感づいていたのだ。(松岡正剛


「理より入るは上達はやく、技より入らんするは上達おそし」(剣法秘伝より)

おまけになるが、千葉周作の道場の「入場心得」を見つけたので引用しておく。操体に接している時間はこれを守りたい(希望)と思う。

一 禮儀を守るべし(礼儀)
二 師言に背くべからず
三 品行方正たるべし
四 膽力を養生すべし(胆力 事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力。きもったま)
五 修行中は雑談喧譁すべからず
六 人の技術を批評すべからず

学校の体育の必須科目に、相撲か剣道か柔道が追加されるようだが、剣道を教えるにあたって、この6つの心得を指導すればいいのかもしれない。

三浦寛 操体人生46年の集大成 操体マンダラ Live ONLY-ONE 46th Anniversary"は2012年7月16日(海の日)に開催致します。

2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催決定






















評価:

山岡 荘八

講談社



¥ 714


(1987-08-03)


コメント:周作の成長ぶりを是非。






































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山岡 荘八

講談社



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(1987-08-03)


コメント:モテまくりの周作。サスペンス調のストーリーに引き込まれ一気読み。さすが山岡先生。