操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

松丸本舗にて。「編集工学2.0」

ISIS編集学校、松岡正剛校長は、私の操体観、操体臨床にも相当影響を及ぼしている。東京操体フォーラムの実行委員や、受講生には「編集稽古」を勧めているのだが、なかなかそこまで手が回らないらしい。
操体は「編集」なのだ。

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。

松丸本舗主義 奇蹟の本屋、3年間の挑戦。

2012年9月28日、Facebookで突然「明日30日、松丸本舗にて18時半より松岡正剛校長による、最初で最後の「編集工学2.0」の講義あり」というトピックを読んだ。幸い昨日、9月29日は夕方までに用事を済ませれば、大手町の丸善まで行けるではないか。

何とか用事を済ませ、5時に家を出た。5時半には大手町の丸の内oazoに着いた。

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丸善入口のディスプレイ。

何だか4階に直行するのに躊躇して、3階で本を少し見る。心を落ち着けてから、4階へ向かうエスカレータに乗る。

松丸本舗が開店した日も、ここに来た。店頭には本日発売の「松丸主義」が積まれており、早速購入する。赤と黒の装丁が美しい、約4センチの厚さの本だ。これは松丸の最初から最後まで通った者としては「証」としてとっておきたい。レジ横ではブックバンドが安くなっていたので、文庫本用を二つ購入した。

店内には何名かの編集学校系の知り合いに会った。昨日の告知だったので、これから校長(松岡さん)の顔も見ないで帰らなきゃ、という方もおられた。

今日は「花伝所」の講義(入伝式)があったそうだ。「花伝所」というのは、ISIS編集学校で、師範代を担当する方々が「師範代の勉強」をするところである。私も師範代経験者だが、私の時代にはまだ「花伝所」はなかった。後で編集工学研究所のK村さんに「無免許の師範代」の話を聞いた。私は無免許の師範代なのである。

本棚の間をうろうろし、「萩尾望都特集」を読んでいると、入り口のほうから「やあ」という、聞き覚えのある低い声が聞こえた。松岡御大の登場である。赤いTシャツに黒いジャケット、黒のパンツというスタイルで「松丸主義」の装丁に合わせていらっしゃるのだろう。軽くハグ挨拶(笑)していただいた。

「花伝所」の参加メンバーが電車で移動しているので、開始が少し遅れることになった。その間、高い椅子に座った松岡さんが「松丸主義」の中から福原義春さんが書いたパートを朗読して下さった。私は松岡さんの声が好きなのである(声だけじゃないですが)。

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ちなみに、誕生数秘学で言うと、私の父、三浦先生、松岡さんは、エンジェルナンバー(誕生数)が皆「8」だ。共通しているのは、皆「声がいい」ということ。うちの父なんぞは、同級生からの電話に出ると(まだ携帯電話がない時代です)「今のお兄さん?素敵な声ね」と、言われたものだった。私は意外と声フェチなのである。音楽にせよ、メインは洋楽だが、声が好きだというのが一番である。それがダミ声でもしゃがれ声でも、自分のテイストに合うとはまるのが常だ。

花伝所のメンバーが椅子に着席し、いよいよ「編集工学2.0」の講義が始まった。私達一般参加者は目次を書いた紙をもらった。花伝所のメンバーは、詳細を書いたテキストを読んでいる。実はこの「編集工学2.0」というのは門外不出で、これを外でやるのは、今日が最初で最後だという。

 ざっと目次だけでも書いておこう。

01. 編集的状況に始まる
02. 誰もが使っている編集技術(情報はひとりでいられない)
03. 編集はどこからでも湧き出てくる
04. 編集工学の前身(総合情報文化技術の範囲)
05. 編集工学は古代からあった
06. 近代の知は編集を忘れたか
07. ポストモダンの思想界も編集の周辺をさまよっていた
08. 編集工学は知の組み替えを促進する
09. 編集工学研究所のスローガン
10. 編集工学は「情報の森」を駆け抜ける
11. 情報にも編集にもいろいろ親戚がいる
12. 編集八段錦
13. 64編集技法ー編纂から編集へ
14. 編集のプロジェクト化
15. 電子の中の編集
16. 才能・触発・学習・学知・開発・提示
17. 知の編集ではテイストを重視する
18. 編集的創発背を支える視点
19. 松岡正剛の編集的世界観

これらを駆け足で一時間半。「花伝所」を体験していない私にとっては「編集工学2.0」は非常に新鮮なものだった。十年前、2002年に「守」と「破」の師範代をやったが、当時、十分編集工学を理解していたわけではない。それが今になって、やっと「あ、そうだったんだなあ」と何となく解ってきた。何度も読んだけど「知の編集工学」「知の編集術」をもう一度読み返してみようと思う。

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知の編集工学 (朝日文庫)

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知の編集術 (講談社現代新書)

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本日2012年9月30日は松丸クローズの日。私は「閉会の儀」には「塾・SOTAI」で出席できないが、数多くの同門達がそれを見届けてくれることだろう。

See you again! Matsu-maru!