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操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

「首コリ」と操体。

操体の95%は「診断法(分析法)」の勉強である。どちらかと言えばインプットの勉強だが、私達はそれを「書き残しなさい」という橋本敬三先生のアドバイスによって、書き残している。あるいは実際の臨床の現場でアウトプットしている。

「書け」「キーボードを打て」

実際、鍼灸指圧按摩マッサージや、柔道整復の学生や、先生方に聞いてみると、視診触診は余りやらないらしい。要は、国家資格を取るための学校だと割り切っている場合が殆どらしい。というわけで、視診触診力が圧倒的に不足しているのだ。

大抵は「治し方、やり方を覚えればできるようになる」と思いがちだが、臨床は相手が存在する。相手ありきなので、「治し方を覚えればできる」というわけにはいかない。

組み立て式の家具を組み立てるのとは違う。

「首コリ」(頸筋症候群、肩こりと首は神経の分布が違うので、首と肩を一緒には考えないという説)は、パソコンの普及と、パソコンの軽量化(ノートブックの普及)、スマホの普及などが関与している。

先日「東京操体フォーラム実行委員勉強会」で、半蔵殿が「折りたたみ式携帯と、スマホで下を向く首の傾斜の違い」を実演して下さったが、今まで主流だった折りたたみ型の携帯に比べ、フラットなスマホの画面を覗く場合、首が下を向く角度が大きくなるのである。

いずれにせよ、「首コリ」を訴えるヒトが増えているのは事実だ。

橋本先生の本の中で「重役型の猪首などの場合」という症例が紹介されている。

その昔、友人が付き合っていた男性の後ろ姿を見た時、首の後ろの「カワ」がたるんでいて、一本の皺が走っているのを発見した。彼女の恋心は一気に醒めてしまったそうである。何故、男性の首の後ろに皺が一本走っていたかというと、彼は髪の毛を短めにしており、重役型ではないが、少し太っていたのだそうだ。

この場合、頸椎七番に掌を当てて介助を与えるのだが、終わった後、患者は一様に「頭に被っていた鍋が外れたようだ」というらしい。

鍋を被ったというのも面白い表現だが、日本の某所には古来から、女性が同衾した男性の数だけ鍋を被るという祭があったらしい。沢山被ると重そうだ。。

私達は、ひかがみ(膝窩)を必ず診るが、首も診る。首はあんなに細いのに、小型のスイカくらいの重さの頭を支えているのだ。その重い頭が始終前のめりになっていたら、どんなに首の後ろに負担がかかるだろう。

首の前部は、食道や気道などが位置しており、首の後ろ側は、頸椎が通っている。頸椎の近辺には、筋や腱が首の複雑な動きを担うために、狭い場所に混在している。首は重いものを支えるとともに、精密な筋骨格システムを持っているのだ。これはケアが必要なのは当然である。

下向いて、首を冷やしてばかりいたら、それは首に対してのケア不足である。寝違えの多くの原因は、就寝中に首を冷やしたか、起きている時に首に負担がかかっていたということだ。よくここで「冷やすか温めるか」という論争が起こるが、温めたほうがいいらしい。最も一番いいのは、「試してみて温めと冷やし、どちらがいいか」というのをやってみればいいのだ。

実際どのように首を診るかというと、私達は触れる前に相手の顔を見る。主に診るのは鼻中線なのだが、その近辺を目視すると「あ、右上」「ここだ」と『顔に書いてある』。その該当箇所に手を伸ばし、首に触れると、ゴロリとしたしこりに触れる。大抵は圧痛を伴う。首に圧痛硬結がないということは、あまりない。

この「ゴロリ」をどうにかするにはどうすればいいか。それには無限のやり方がある。勿論経験値によって「アレか」というのはある。私の場合は、橋本敬三先生の時代から伝わる古典的操体をもう少し現代的?に大胆にアレンジしたものを行っている。場合によっては、首に触れないこともある。

首の「ゴロリ」が消えると、「花粉症の鼻水が止まった」「頭がすっきりした」など、そんなにひどくはないが「不快な症状」が解消する、という話を聞いている。

勿論いくらコリが解消したからといっても、日々のからだの使いかた、動かし方を実践しないと、また元にもどる。これは、パソコンの使い方や、日常の生活のクセを改めることをしないと、また戻ってしまうということだ。

そうやって、歪みを正す、生活を正すということを繋げてゆくと、ある時点でボディの自己治癒力が一気に高まる。そこまで行っていただけると此方もありがたいし、からだも喜ぶのである。