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操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

関東と関西の操体の違いを考える。

来月はじめ、大阪で「全国操体バランス運動研究会」のプレ大会が開催される。

そこで師匠(三浦寛)が呼ばれて講演をするので、私も参加する。
フォーラムからは総勢8名が参加予定だ。


全国操体バランス運動研究会は毎年開催されるが、仙台で開催しても
何故か関西とか西の地方の方々が講演をすることが多い。

実技指導にせよ、大抵は関西勢である。

これは、やはり活動範囲が広いからだと思われる。神戸あたりから西には、
いわゆる「○○操体の会」とか「○○操体道普及友の会」というのが多数存在し、
ネットワークを築いているからだ。

私は愛好会や同好会が悪いとは言わないし、啓蒙のためにも必要であると
考えているが、どうも西は独自の『操体文化』があるように感じるのである。

それは、操体を「医師が行っていた臨床」としてとらえているのか、あるいは
「健康体操・養生法」としてとらえているかでもある。

 

それはさておき、

般若身経というものがある。

これは「般若心経」ではない。
操体の創始者、橋本敬三医師が「身体運動の法則を、世界で一番短いお経になぞらえたもの」(つまりジョークとかニックネームみたいなもの)である。

これに関しては『健康体操』としてとらえているところと、私達のように
「身体運動の基礎」としてとらえているところがある。
橋本先生は、このあたりが結構曖昧だったようだ。

これは「自分でできる」。
橋本先生は患者にわら半紙を渡していた。

操体で「自分でできる」と言ったらまず般若身経なのである。

それが「自分でできる」というところだけ拡大されて
操体は自分でできる』というように伝わっているところもある。

そして、割と軽んじられているのも般若身経である。
講習をやっても「体操みたいなもの」とか「こんなの簡単」と、省かれることもあるが、フォーラムなどで実技指導を行っても、実はできないというケースを多々目撃する。

本当はこういう「型」が一番大事なのだ。

正座と自然体立位、般若身経。この3つは操体指導には必須項目である。

 

般若身経、関西や西のほうでは、どうやら「健康体操」として広まっているのである。

最初に驚いたのは、20年程前、関西の団体のテキストを見た時だった。
般若身経という言い方は、宗教を連想させ、誤解を与えかねないので「基本動作」という言い方をしているとのことだった。

そして、更に「おおおっ?」と思ったのは、

前屈・後屈、左右捻転、左右側屈のメインの動きの中での「側屈」である。
そこでは「側屈」ではなく「わき伸ばし」として紹介されていた。

 

側屈は、文字通りからだの側面を屈曲するものである。
般若身経では「からだを倒した方と反対側の足に体重がかかり、倒した方の足のかかとは浮く。どちらの足も母趾球を支点とする」となる。

が、私が見たのは、体側を伸ばし、挙げている手の上にはおもりを乗せているような
イメージで、踏ん張るというものであり、重心の移動、つまり踵を浮かせるという、説明はなかった。


これは橋本敬三先生が書いているのとは違うではないかと、当時知り合った
関西の操体の会の人に聞いてみた。

と、側屈は、股関節が窮屈だという人がいるので、わき伸ばしになったとの
ことだった。

股関節が窮屈???

色々試してみたが、分かったことは、

「膝のちからをほっとゆるめる」という過程が抜けているということだった。

般若身経は橋本先生の本でくり返し紹介されているが、
「万病を治せる妙療法」にはその記載はない。

口絵の写真などを見ると、むしろ膝は伸びているように見える。

「膝の力をほっとゆるめる」というのは「からだの設計にミスはない」に
はじめて登場するのである。

 

からだの設計にミスはない―操体の原理

からだの設計にミスはない―操体の原理

 

 

12年程前、全国大会が長野県で開催された。
私も参加した。

勿論般若身経もやった。この時は神戸のWさんが実演した。

この時、彼は「重心移動なし&踵を浮かすことなし」の
「わき伸ばし」をやった。

橋本敬三先生は「わき伸ばし」とは言っていないし、
側屈の場合、側屈したほうの踵は浮くという指導をされている。

そもそも「重心移動の法則」にかなっていない。

なるほど、と思った。これは進化形などではなく、
重心移動でもなく、側屈でもなく、わき伸ばしなのである。

健康体操の一環としてこうなったのだろう。
なので「基本動作」と言っているのだ。

 

そして、昨年の全国大会では、関西の指導者が般若身経を行った。
側屈はよく覚えていないので、わき伸ばしではなかったかもしれない。

前屈時。指導者は膝裏を伸ばし、つま先を浮かせて前屈していた。
ただし、このままだと首が前傾しない。見ていると、彼らは
膝を曲げたのである。
緩めるのではなく、曲げたのだ。

膝をゆるめるのと、曲げるのとでは、違う。

今回大阪ではそれを伝えたい。

間違っている、正しいという話ではなく、

「重心安定の法則」「重心移動の法則」という、基本法則を見直し、
橋本敬三先生も晩年付け加えた「膝のちからをゆるめる」という行程を
加えてみて欲しいのである。

 

 

今までにも何度か、地方の全国大会で指導したことがあるが、

出てくる言葉が
「自分達が習ったのと違う」
「難しい」というネガティブな言葉だった。

今度はそんなことがないことを祈る。