操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

痛いところには、さわらない。

「北風と太陽」という話がありますが、
操体の臨床を考えると、この話を思い出します。

風の力で、旅人のコートを飛ばそうと、脱がせようとしても
なかなか大変ですが、
太陽が、ぽかぽかと暖かく照らすと、旅人は暖かくなって
コートを脱ぎます。

きもちよさ、とは、ぽかぽかとした太陽の光のように思えます。

 

さて、

 

 

左足首を捻挫しました。

 

さて、どこを診るでしょう???

 

私達は、右手を診ます。

 

骨が折れていたりしたら、勿論骨を整復しますが、
私は柔道整復師ではないので、それは専門家に任せます。


いずれにせよ、患部には触れず、
その対極から対応していきます。

悪いところは、動かさないのです。
いいところを動かす、それが操体です。

 

勿論、患部に触れるというやり方もありますが、
何も炎症を起こして痛みがあるところを
わざわざ触ることはないと思っています。


遠回りではありますが、
痛みを与えず、無理なく、しかし確実に
アプローチできます。

 

また、大抵の捻挫は、放っておいても何となく治るものですが、
実は結構治りきっておらず、という場合があります。

 

腰痛その他の慢性痛で、
普通なら、これくらい調整すれば変わるのに、
何故か経過があまり良くないことがありますが、
よく聞いてみると、数十年前の捻挫が治りきっていなかった
(例えば触診すると痛みがあるとか、腫れが残っているとか)
ことがあります。

日常生活には差し障りがないので、
本人はすっかり治ったと思っているのですが、
実はまだ残っていたと。

こういう場合、捻挫からどうにかする必要があります。

 

腰痛や不調の下に、治りきらない状態の捻挫が隠れているのです。
また、本人が覚えていない位小さい頃に、
どこかから落ちたとか、転倒したとか、そういう打撲のショックが
隠れていることもあります。

 

また、怪我などをすると、細胞がそのショックを覚えていて
その時の「感情」を細胞内に抱えたままになっていることがあります。

 

それを「解放」させる必要があります。

 

その時に有効なのが「きもちよさ」なのです。

不思議なことに、きもちよさを味わっていると、
すっかり忘れていた怪我の記憶が甦ったりすることがあります。

「あ、忘れていましたが、小さい時にこの辺りを怪我したことがあります」
とか。

 

そして、意識がそこに行き
怪我などの記憶が甦ると、

症状が消えることもあります。