操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

「健康維持増進」と「加療・治療」の壁(1)

最近何件か続いたので、記しておきます。

 

アロマのサロンをやっている方です。アロマは本来「アロマセラピー」というくらいですから「芳香療法」ということで、自然治癒力を高め、健康維持増進や免疫力アップに効果があります。

この方は、オイルを使ったマッサージ(アロママッサージ)をしているそうですが、操体の基礎を習いたいと、施術+ベーシック講習に参加されました。

 

聞いてみると、アロママッサージで、肩凝りや腰痛をほぐすようなオイルとやり方はあるものの、最近、お客様に、重度の肩凝りや腰痛をどうにかしてくれないかと言われ、困ってしまい、何かできるものはないかと探してきた、のだそうです。

 

これは、例えて言えば、美容院のお客さんが、

 

美容師さんとか理容師さんにAGA治療(薄毛、抜け毛の治療)を頼んでいるのと同じことなんです。

 

美容師さんも理容師さんも、ヘアケアや、養毛剤のアドバイスはできますが、AGAの治療をすることはできません。

 

つまり、美容師さんの領域の範疇を越えてしまっているのです。

 

話を戻すと、アロママッサージサロンで、重度の肩凝りや腰痛をどうにかしてくれと頼まれ、困ってしまったわけですね。

 

それで「操体(って簡単そうだから)覚えたい」と思ったのだそうです。

 

後程書きますが「人様にお金を戴くほどのレベルの操体」は、そんなに簡単ではありません。

 

ちなみに、私がやっている「施術+ベーシック講習」ですが、詳細に「セルフケア」と書いあるとおり、ベーシックでは、操体の理論とセルフケアがメインです。

 

★いらっしゃる方が、専門家で、操体の臨床経験がある場合は、第一分析の動診操法を伝授することもあります。

 

なので、ベーシック講習では「人様にやってさしあげる」動診と操法は、教授していません。

 

理由は簡単です。
効果があるものは、一日程度では習得不可能だからです。

 

操体は、一種の技術職、職人芸?でもあります。

 

まあ「簡単だからやってみなさい」というのも見かけます。効果がないとは言いませんが、安全上の理由などがあります。

 

よく、膝を左右傾倒させ、3カウントして脱力させ、その時操者が手を放す、というのを見かけますが、危険です。

 

武術やトレーニングや運動をしている人なら、大丈夫でしょうが、症状疾患を抱えた方に「無知」で行うのが一番危険です。

 

★私はこの危険性を20年以上前から訴えていますが、少しは広まっていることを願っています。

 

橋本敬三先生も「(お釈迦様は)無知が一番の罪だとおっしゃった云々」と書いていらしゃいます。これは、若い母親が、無知故に、温かいだろうと、乳児を布団とヒモで縛りすぎて、死なせてしまったという事故からきていますが、良かれと思っても、それが「知らない」故に、良くない結果になることもあるのです。

 

この、健康維持増進エリアにいらっしゃる方が、「加療あるいは治療」を求められるというケースが結構あるのです。

 

そうなると、やはりお客様のご希望ですから、何か「加療及び治療」みたいなものができるといいな、と思うのは、当然です。

 

そこで、操体って(簡単そうだし)一人でできるみたいだし(条件があります)、きもちいい(最初から味わえるわけではありません)みたいだし、いいんじゃない?

 

というわけで、講習に参加なさったりするわけです。