操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

本来「首操体」とか「膝操体」という概念はない

ある方から「あの〜、本屋で見たんですが『首操体』とか『膝操体』ってあるんですか?」という質問がありました。

 

操体は、本来「症状疾患にとらわれない」という基本概念があります。これは、どういうことかというと「○○に効く操体」というものはない、ということです。

 

え〜?それじゃわかんない!

という方のために説明しますと、操体というのは、「ボディの歪みを正す、あるいは重心の不正を正すことによって、二次的に症状疾患を解消する」ということなんです。

 

膝の裏のしこりを、足関節の背屈で除去する動診操法がありますが、あれ、足首の痛みを解消しているわけではありません。そもそもあれは、膝の裏(ひかがみ、という)には、全身の歪みが鏡のように現れるので、そこをどうにかすることによって、ボディの歪みをどうにかしようということなんです。

 

鍼灸のツボを考えるとわかるかもしれません。

例えばノドの痛みとか歯痛に効く「合谷」というツボは、手にあります。

ノドや歯からは離れていますね。つまり、痛いところ、症状疾患のあるところを直接いじらないというのが、操体の特徴の一つでもあります。

 

しかし、分かりやすいところでは、痛くない方に動かして、力を抜くという方法もありますが、これは何も操体だけではなく、正體術(整体とは異なる。操体の源流といわれるもの)や、骨法、古武術の中には多いものです。

 

この「首操体」とか「膝操体」というのは、一般の読者に分かりやすくアピールするための、便宜的な名称でしょう。

 

本来は「○○に効く操体」はないのですから。

 

ただし、商業的な出版などでは「膝に効く」とか「膝操体」とか「足首操体」とか「腰操体」と書いたほうが、売れる可能性はあります。

出版社も売らなければならないからです。これは、私も本を出しているので、よくわかります。

 

また、私達は「遠回り」ではないですが、患部にはあまり触れません。

 

例えば、骨折して痛みがある場合など、私たちは怪我したところには触りません。

足首の捻挫なども、患部にはさわりません。

そういうやり方があるのです。