操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

ナゾが解ける(1)

橋本敬三先生の「生体の歪みを正す」と「からだの設計にミスはない」にも出てくる「救いと報い」の話がある。

★この二冊を読んでいないと「操体を勉強していてもモグリ」と言われるので、読んでいない操体法東京研究会の定例講習の受講生は読むように(なお、先輩のフォーラム実行委員の何名かは「からだの設計にミスはない」を手書きで写すという写本もやっている)。

創始者のバックグラウンドや、思想の変遷を学ぶことはとても大切なことだ。

第一分析から第五分析の変遷は、やはり知っておいて損はないし、別に「知った」からといって絶体やらなければならないわけでもない。皮膚へのアプローチ(第三分析)を知っていても、第一分析をやってもいいのである。
要は「知っていてこだわらない」ということだ。

 

以前、某整体関係者に足趾の操法を体験してもらうチャンスがあった。しかし、その方は「他のものは受けてはいけないと言われている」と言った。

 

これはこれで面白いが、私は「経験値」として他のものも受けるべきだと思っている。

伝統療法カンファレンスなどで、筋整流法の皆さんと互いに交流したりするのは非常に勉強になる。

 

さて、ナゾが解けたとは、なんのナゾなのかというと「救いと報い」の、ナゾである。

 

 ★近年「生体〜」は、電子本になっている。

生体の歪みを正す 橋本敬三論想集

生体の歪みを正す 橋本敬三論想集

 

 

 

からだの設計にミスはない―操体の原理

からだの設計にミスはない―操体の原理

 

 

「救いと報い」というのは、操体の哲学の中でも非常にコアな部分である。

若き日の橋本敬三医師は18歳から23歳までの間、苦悩の青春を過ごした。
その苦悩の様子は詳しく書かれているので、是非読んで頂きたいが、「罪」という概念である。(心の調和 救いと報い 374ページ参照)

橋本敬三先生は、入信こそしていないものの、若い頃は聖書を読み、救世軍に出入りし、自伝的小説では、日曜学校の手伝いをしている。また、最初に戦地に赴く少し前、38歳の時、函館で自費出版された「霊魂を賭けて」という本には、医師として、当時大流行したスペイン風邪で亡くなった17歳の女子高生を牧師と共に見取ったというエピソードが記されている。

★「霊魂を賭けて」というのは、私家版の自費出版本で、昭和11年に書かれた文章であり、函館の印刷会社で印刷されている。これを見つけたフォーラム実行委員の寺本君は大したものであると思う。

 

★戦後は、日本的な思想に興味を持たれていたようだが、ここでは説明しない

 

さて、若い頃何を悩んだのかというと、いわゆる「性」の問題である。
「若者が霊と肉の間に挟まれて苦悶する」という話だ。

 

簡単に書くと、聖書には「汝姦淫することなかれ」と書いてある。もっと言えば「女子を見てムラムラしたら、それも姦淫の罪」ということだ。
もしも、清らかな気持ちの時にあの世にに行けば天国行きだが、もし「ムラっと」している時にあの世に行ったら、地獄に堕ちるのではないか(神を呪っても天国に行く方法はないものかと考えた、ともある)という心配である。橋本敬三先生ご自身も「今の若い人には信じられないだろうが云々(うんぬん、です。どこかの総理は「でんでん」と読んでいましたが、うんぬん、です)と書いてある。

 

そして、私も「そうだよな、最近の若い人はこんなにウブじゃないよな」と思っていた。

 

ところが、そうでもないことがわかったのである。

 

それは、先日もちょっとご紹介した本である。