操体法大辞典

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全国操体バランス運動研究会(2)般若身経

昼の休憩は、国分町の「旨味太助」に行きました。

ここは「塩」の牛たんしかありません。三浦先生が温古堂で丁稚奉公していたころからの、おなじみだそうです。近くに有名なおでん屋さんもあります。

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午後一番は「般若身経」です。

 

これは申しわけないけれど、良くありませんでした。

 

というか、これを般若身経として指導してるのか?? 身体運動の法則から、橋本敬三先生の趣旨から外れています。

 

また、操体歴が私よりも長い先輩方も沢山いらっしゃいましたが、
「この実技がヘンなのに、気づかないのか??」と、私は危機感を感じました。

 

 

まず、橋本敬三先生は「自然体立位」では、「膝のチカラをホット抜く」と書いていらっしゃいますが、あるグループでは、「膝のチカラを抜く」というのが抜けているようです。

 

自然体立位で、膝の裏筋が伸びています。

 

前屈の際も、膝の裏が伸びているので、前屈の場合、首が自然には前傾しません。
途中で無理矢理首を前傾することになります。

 

また、前屈と後屈「気持ちいい方をやれ」という指導でしたが、人体の構造上、前屈のほうが「やりやすい」(気持ちいいとは限らない)のは確かです。

(なお、腰に異常がある場合は、後屈の方がやりやすい場合があるようです)

 

そして、三浦先生も指摘していましたが、後屈の場合、顎が上を向きすぎています。年配者などにとっては、後方に転倒、バランスを崩すことにもなりかねません。

 

何故、顎が上がるのか。

やってみればわかります。膝を緩めていないから。

 

橋本敬三先生が、「膝のチカラをホット抜く」と書いていらっしゃるように、膝を曲げるのではなく、緩めればいいのです。

 

そして、指導者は「きもちいいほうに動かして」を連発します。

 

体操の先生系が操体指導の際『口ではきもちよいいほうに動いて』と言って、教室では言葉に誤魔化されるけど、家でやっても『きもちいい方に動く』というのはわからない

 

というのは、私のところにいらっしゃる方からよく聞く言葉です。

 

せめて「楽な方」「やりやすい方」と言ったほうがいいのでは?

 

数年前大阪で三浦先生が「般若身経」を指導した際、大阪のマダム達に「きもちいいほうってわかる?」と聞いたところ、殆ど手が上がりませんでした。

 

そして「楽な方とか、やりやすい方は?」と聞いたら、多くのマダムが手を挙げました。

 

やはり、体操教室などで「きもちいほうに3回動かして〜」と言われれば、

「言葉に欺されて、ラクな方をやる、あるいは、わからないから適当にや」っている場合が多いのです。

 

そして、驚いたことに、側屈の場合、カラダが倒れたほうの足は母趾球で支えをつくりますが、講演者は

 

靴の先で足を支えたのです。

 

もう、あきれて口アングリでした。

 

母趾球で支えるって、橋本先生もおっしゃってますよね。

 

これでは、からだが安定しません。

 

見栄えはいいかもしれませんが、これでは「重心移動の法則」にもなんにもなりません。

 

 なお、追記ですが、般若身経の中に、両手を挙げてばさっと落とすものがあります。

 

なので、他の動きでも「瞬間的に抜く」という思いこみがあるのかもしれませんが、 

 

 数年前の全国大会で、私は、それを大真面目にやっている人達をみて、目を疑いました。後屈で瞬間脱力なんて、年配者には(年配者じゃなくても)リスクが高すぎます。

 

そして今回、

側屈ではなく「脇伸ばし」にして、身体を側屈させないのは、脱力するとバランスを崩すから、あえて側屈させないという意見がありました。

 

★これって、側屈してから瞬間脱力させるってことですよね??

 

側屈についてですが、何度も書いていますが、関西地方では「膝のチカラをホット緩める」が、伝わっていないので、膝裏筋を伸ばしたまま、側屈をしたところ「股関節に負担がかかる」ということで、「脇伸ばし」にしたという話を20年程前に聞いたことがあります(関西の操体関係者から)。

 

「いろんなやり方がある」という方もいますが、万が一、後屈で瞬間脱力させて、転倒し、怪我したら、操体自体の安全性が疑われるのです。

 

色々なやり方があって悪いとは言いませんが、膝を緩めるとか、母趾球を運動力点作用点とするとか、身体運動の法則に適うように、また、危険やリスクがないように、

 

指導者が「楽」と「気持ちよさ」を混同しないように、という初歩をきちん統一すべきでしょう。

 

何度でも言いますが、

 

指導者が「気持ちよく動いて」といってもほとんどはわかりません。 何故なら、動いてみないと気持ちかどうかはわからないから。

 

体操指導の言葉のトリックです。

特に、操体初心者は、まずわかりません。

 

指導者が「気持ちいいほうに三回」、と言っても殆どは「ラクなほう、痛くないほう」にやっているのですよ。

 

気持ちよく伸ばしてぇ、というのは、ストレッチとかラジオ体操の世界です。

なんで体操じゃない操体が、ストレッチや体操のマネをしなくちゃならんのでしょう。