操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

豊川稲荷東京別院の読誦会

私は曹洞宗で在家得度(私のお師僧様は「プチ出家」と言っています)しています。

得度といっても在家得度なので、頭を剃っているとかそんなわけではありません。

 

むしろ最近は、カーリーヘアにハイライトを入れているという、俗物まっしぐらのヘアスタイルをしております。

 

私のお師僧様は、美輪昭宏さんと「南無の会」(超宗派の仏教の会)で活動していたそうで、個人的には美輪さんのように(スタンスです)、お坊さんにならずとも、仏教を広めるような活動ができればいいなと思っています。

本業は操体だし!

 

 

2017年に東京国際仏教塾曹洞宗専門課程で学びましたが、その後はお山にあがったわけでは(修行道場にいったとか)ないので、何か活動をしていないと、折角学んだことを実践できません。

tibs.jp

しばらくは、中野東禅先生の坐禅会に参加していましたが、会場ビルの建て替えや、コロナ禍もあり、坐禅会は終了しました。

平行し、豊川稲荷東京別院曹洞宗のお寺です。よく柏手打ってる人がいますが、お寺なので合掌ね)の読誦会(お経を読む会)にも出ていましたが、何故かどうしても避けられない会議に毎回当たるとか、コロナで2年ちかく休会になるとか、色々あったのですが、昨年から読誦会が再開しました。

 

豊川稲荷東京別院

 

毎月18日13時〜16時くらいまで 参加費2000円
お経本は、曹洞宗のもの(永平寺とか總持寺とか)で大丈夫ですが、豊川稲荷で使っているお経本あります。先生が「お経本何ページ」とおっしゃるので、読誦会で購入したほうがいいかもしれません。

 

 

 

なお、初めての方がいる場合は、お経本の持ち方や、姿勢などについてもちゃんと教えていただけます。

「お経本の持ち方」があるのは、曹洞宗だけなのかも?と思うのですが、どうなんでしょう。日蓮宗やお浄土系、真言宗の勉強もしましたが、お経本の持ち方(指の使い方がある)を教わったのは、私の場合曹洞宗だけです。

さすが「お作法」の曹洞宗、という感じです。

 

さて、読誦会ですが、最初に豊川稲荷でお祀りしている「豊川荼枳尼眞天」のご宝号をお唱えし、次にご真言をお唱えします。

 

その次に「三帰礼文(さんきらいもん)」、「開経偈(かいきょうげ)」をお唱えしてから、般若心経と、大悲心陀羅尼を読みます。講師の太田先生は、般若心経と大悲心陀羅尼は必ず読むとおっしゃっていました。般若心経は皆さんよくご存知だと思いますが、あれも宗派によって読み方が違ったりします。

大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)は、あまり馴染みがないかもしれませんが、私がこの前NHKオンデマンドで「信長 KING OF ZIPANGU」を見ていたところ、信長のお父さん信秀のお葬式で、お位牌に抹香を投げつけるという有名なシーンがありますが、その時にお坊さん数人があげていたのが、「大悲心陀羅尼」です。

「なむからたんのうとらやーやー」というものです。

 

ちなみに私は半袈裟を持っているのですが、ちょい恥ずかしいのでまだ着て出席したことはありません(本当は大般若講の輪袈裟が欲しかったりする)。

 

さて、お経を読むとどうなるかというと、

  • 大きな声を出すので、すっきりする
  • そして「読む時は読む」(読みながら意味を考えるのではなく、読む時は読むことに集中する)。
  • なんだかありがたい気持ちになってくる

ライブに行くと免疫力がアップすることは分かっていますが、お経を読むのも免疫力があがるのでは?(操体もあがります)と思ったりします。この辺りは、研究して欲しいですね。

 

なお、ブライアン・メイが来日時、豊川稲荷東京別院を訪れて、インスタだかTwitterに「日本の神社に来た」とアップしていたので「いやいやいや、ここ、お寺だし。お坊さんいるし。曹洞宗の寺だし」ということがありました。

柏手を打ってる人もいますが、ここはお寺です。お寺は合掌ね。

 

 

 

 

 

 

 

はじめての?操体(施術者編)

今日は「セルフケアしたい」という一般の方ではなく、操体を施術・治療として使いたい、操体の専門家として勉強したいという方のことを少し書いてみます。

 

 

操体法東京研究会にも私(TEI-ZAN操体医科学研究所)にも、操体に興味があるとか、操体を勉強したいという方がいらっしゃいますが「操体は全く始めて」という方よりも「どこかでちょっと習った」という方の方が多いように思えます。

 

私が操体を勉強し始めた30年くらい前は「操体を教えてくれる」ようなところは、あまりありませんでしたが、最近は結構ありますよね。

 

その場合、大抵皆さんおっしゃるのは

 

「操者のポジショニングやスタンスなどは習わなかった」

「持ち方(手のかけ方)とか、こんなに細かくやらなかった」

「第一分析と(実際に第二分析の臨床を目の前で見て)第二分析がここまで違うとは思わなかった」

ということです。

 

もう一つは「『楽と快の違い』がよく分かった」ということ。

何故ならば、第二分析(きもちのよさをききわけ、味わう)という動診操法を指導しているのは「操体法東京研究会」(か、師範/師範代クラスの指導)だけだからです。

 

大抵は「言葉だけは『快』と言っているが、やっていることは、第一分析」です。

これは、私の経験上間違いありません。

指導者自身が「楽か辛いか」の動診操法(第一分析)と、「快をききわけ、味わう」という動診操法(第二分析)の違いが分かっていないからです。

 

なので※「楽な方にきもちよく動いてからだを整える」とか「どちらがきもちいいですか」とか「きもちよさを探して」とか「どちらが心地いいですか」というような言葉を使うのです。

これらは、一瞬聞こえがいい言葉ですが、操体にかぎれば、間違っています。

 

 

実際にやってみれば、これらの問いかけは「?」「よくわからない」ということがわかるはずです。※こういうことを言う指導者は、実際にどこか悪い方を見ていないとか、健康体操的指導(元気で運動できる人の相手しかしていない)しかしていないのです。

 

もし、操体法東京研究会以外で「第二分析」という言葉を使っていたら、それは、モグリかもしれません。いや、モグリです。

 

何年か前、三浦先生の本を読んだだけで、プロ向けの講習をやっていたという人がいて、驚いたことがあります。それも、治療家でも何でもない方だったのですが、びっくりしました。「渦状波®」をやるのは、我々の一門だけですし(似たようなことをやっているところもありますが、大抵は「皮膚への刺激」で、絞るとかずらすとか捻るとか、全く違うことをやっています。渦状波は「刺激」ではありません)。

 

「捻る」「つまむ」「ひねる」「ずらす」というのは「皮膚への刺激」です。

刺激と刺激にならないアプローチは、神経伝達経路も違います。

なので「捻る」「絞る」とかは、違うものであると思ってください。

 

 

 

最初の「操者のポジショニングやスタンス」ですが、操体は「操者もからだを使う」ものですから、ポジショニングやスタンスが無視されていいわけがありません。

 

我々は「作法」と言っていますが、操体を行う場合の「型」だと思っていただければいいでしょう。

 

自然体立位(しぜんたいりつい)のクラシックバージョンを書き出してみると

  1. 足は腰幅
  2. つま先とかかとは平行に
  3. 背筋は軽く伸ばして、目線は正面の一点に据える
  4. 膝の力をホッ、とゆるめる

そして、この場合、足底の支点は、常に母趾球です。

 

簡単に書いても4つの行程があります。

また「腰幅」と言っても、どこを基準にするのかは、本には書いてありません。
つま先とかかとは平行に、と言っても、つま先の拇指側なのか小指側なのか、これも本には書いてありません。

背筋を軽く伸ばして、目線は正面の一点に据える、これは想像できると思いますが、その次の「膝の力をホッとゆるめる」というのが難関です。

 

「膝を曲げる」のではなく、ゆるめるのです。

また「背筋を軽く伸ばす」と腰を反らせる人がいますが、腰を反らせると、膝の力をホッと抜けないのです。

この場合、腰を反らせずに、軽く背筋を伸ばす、我々の言い方だと「骨盤の前弯曲」(恥骨を基点として、恥骨が前方に出て、「背中が反らずに平らになる」状態)になります。

一番近い状態が、太極拳など中国武術系の「含胸抜背」(がんきょうばっぱい)だと思います。

 

太極拳も、健康体操的にたのしくやるのであれば、ここまで言われないかと思いますが、制定拳(スタンダード)を習うと、この辺りはかなり言われます。

 

私は、日本チャンピオンタイトルを取った先生から太極拳の指導を受けていたのですが「お尻は出さない」ということをかなり厳しく言われました。

 

お尻を出さない、つまり、腰を反らさない(骨盤を前弯曲させる@恥骨起点あるいは、骨盤を後傾@腸骨の上部を起点)ということです。

 

背筋は軽く伸ばすけれども、お尻は突き出さず、なおかつ膝は軽くゆるめる(曲げるのではない)。

 

単に「立つ」と言っても、これだけ細かい作法があるのです。

 

また、大抵の方は、つま先が外を向きがちです。

自然体立位で、つま先と踵を平行にセットしても、前屈とか後屈とか捻転とか側屈などの、動作をとらせると、大抵はつま先が外を向きます。

 

これは、まだ母趾球をコントロールできていないのです。母趾球をしっかり支点にして、そこから動きを操ることができるようになると、足幅は「つま先と踵は平行」状態をキープすることができます。

 

なぜ、これをやるのか、というと、被験者に動きを取らせる第二分析や第五分析において(第一や、D1’ も同様です)、被験者よりも操者の体さばきをコンパクトにするためです。

操者が被験者よりも、体さばき(動き方)が大ぶりだと、操者が被験者の動きについていけなくなるのです。

 

これは、一見逆に見えます。

操者の動きが大振りのほうが、被験者の動きについていけるんじゃない?

ところがどっこい、違うんです。

 

これは何度か書いていますが、大事なことなので、また書きます。

 

その昔、同じような身長体重なのに、介助補助のかけ方や、体のさばき方が上手いヒトとそうでないヒトがいました。

私は「どうしてだろう」と思ったのですが、そうでないヒトは、腰を反らせていることがわかったのです。

 

よい姿勢、というと、腰を反らして(ヒップアップ状態)というのが、普通に考える「よい姿勢」だと思うでしょう。

 

実は腰を反らせると、動きは外に向かいます。
腰を反らせないと、動きは内に向かうのです。

 

つまり、操者が動きを被験者(患者)よりもコンパクトにし、いかなる相手の動きにもついていけるようにするには、骨盤が反っていては具合が悪いのです。

 

以下の図は、私が講習などでもよく使うものです。

 

 

また、たまに「腰を反らせないと姿勢が悪くなる(猫背になる)」とか「膝を曲げるなんていうのは、姿勢が悪いじゃないか」という反論を受けますが、

腰を反らさず(前弯曲のまま)、背筋は軽く伸ばし、膝の力はホッと抜くのです。

膝は曲げるのではなく、力をホッ、と抜くのです。

 

曲げるのもゆるめるのも同じじゃないか、ではないのです。

操体の指導をする場合は、

膝を曲げる、とゆるめる、の違い

踵を上げる、と浮かせる、の違い

なども勉強することになります。

 

それが、操体の動診や操法の丁寧さにも繋がってくるからです。

この辺りは「疲れにくい」「運動効率が良い」ということにも繋がってきます。

我々は、単に操体の治療や施術ができるというだけではなく、それを継続して行う必要があります。「つかれにくいからだの使い方」を習得するのも、スキルの1つなのです。

 

また、足趾の操法®などは、傍目にはものすごく簡単に見えるようですが、実際にやっていただくと、ほぼ100パーセント再現不可能です。

そしてこの辺りは、見よう見まねでやると、手首や肩を壊します。

「からだを壊さないように、長時間できるように」というのは、やはり時間をかけて学ぶ必要があります。

 

以前、途中でばっくれたヤツがいましたが、その人には、最後の「こうやれば、親指を痛めない」という方法を教えていませんでした。

多分「自分はもうこれでいい。畠山から学ぶものはない」と思ったのでしょうが、最後の一番のキモを習う前にばっくれたので、多分今頃上肢のどこかを壊しているのでは、と思います。

 

武術などにも「自分はもうこれでいいや」と、師匠から習うのをやめて、自己流でやるヒトが昔からいたようですが、そうやって自己流でやっていると「からだが壊れてくる」というシステムがあるそうです。

 

★こちらは、40数年の歴史を持つ、私もこちらで勉強した三浦寛先生の講習です。4月開講ですが、途中編入もOKです。詳細はお問い合わせ下さいね。

 

操体は「楽か辛いか」の第一分析でやめておいて「浅くやるか」。

または「快」に踏み込んで深くやるかです。

 

www.sotai-miura.com

 

★こちらは、20年くらい続いている私(畠山)の、「施術+ベーシック講習」。

こちらは1日(3時間程度)ですが、操体の基礎とセルフメンテを学びます。

「本を読んでもわからない」「きもちよくって言われても」みたいな「操体ってよくわからない」という方のお悩み解決をしてきました。

★なお、三浦先生の講習を受ける前に、受講なさる方も多いコースです。

施術+ベーシック講習 | 操体法の講習 | 操体法 TEI-ZAN操体医科学研究所

www.teizan.com

はじめての操体法(序2)

説明はいいから、とっとと操法を教えてほしい、という声が聞こえそうですが、もう少しお付き合いくださいね。

 

なお、操体独特の用語もあるので、こちらを見て頂けると参考になるかと思います。

 

操体用語解説集(改定版) | 操体法 TEI-ZAN操体医科学研究所

www.teizan.com

 

その昔、私がまだ操体の講習を始めて間もない頃ですが、ある方から電話がありました。

 

「基本の操体は効かないから、応用を教えてほしい」

 

いや、基本が効かないんじゃなくて、基本ができないのでは???

 

基本をすっ飛ばしたい(基本は面白くないと思われている)という方は、基本を甘く見ています。

確かに「基本運動」(般若身経@般若心経ではない。用語解説参照)は、なんだか、簡単な体操みたいであんまり面白くなさげですよね。

 

しかしながら、簡単そうに見えて、あれを正確にやるのは、かなり鍛錬が必要です。

あれには、操体のエッセンスが凝縮されているのです。

 

あれをやらずして、操法を早く教えて欲しいというのは、空手で型は飛ばして最初から自由組み手をやらせて欲しいというのと同じなんです(気持ちは分からないではありませんが、やはり基礎は大事なのです)。

 

もし、アナタが操体でセルフメンテをしたいのであれば、やはり最初は「般若身経」から取り入れるのが「急がば回れ」なのです。

 

 

 

 

 

「○○だけ」で、解決するの?

「ココを押すだけ」で解決したら、いいですよね。

 

私もそう思います。

 

でも、それだけで解決するほど、人間のからだは単純ではありません。

 

また、第一分析(楽な方に動かして瞬間急速脱力)が著効を示していた昭和50年代は、今とくらべると生活様式や環境がかなり違います。環境の汚染なども同じです。

当時は効果があったのに、というものはかなりあるのです。

 

昭和の終わり頃は「ホールインワンテクニック」といって「これをやれば一発で全部治る」的なものはかなりありました。

それが一時下火になったのは「メンタルの不調」が目立ってきたのと、原因が複合化してきて、複雑化してきたこともあります。

 

この時は「最近『うつ病が増えた』」と、色々な治療家が言っていました。

 

また、昭和の終わりころから平成の初めにかけては、治療系の誇大広告が問題になったりしたこともあり、「誇大」的なものは、だいぶ見なくなったな、と思いましたが、最近、また「誇大広告」っぽいものや動画をよく見かけます。

 

時代は巡る。。みたいな。

 

最近は、加齢や毛穴問題をマンガでぐいぐい押して、定期購入すれば最初は半額(二回目からは高い)みたいなのも多いですね(って私も化粧品系は買ったことがある)。

 

キャットフードも「ほぼ100パーセントの猫ちゃんが食べました」というのを買ってみたら、猫3匹全員が食べなかった。。。で、返品したら「サーモン味でお試し下さい」とサンプル品を送ってきましたが、それも3匹全員が食べなかったというのもありましたっけ。。。

最初は安い定期シバリっていうのは要注意だと思いました。

 

 

 

 

***

 

なお、今までも操体をスポーツクラブやフィットネスクラブのプログラムに取り入れようとしたところはあります。

 

しかし、大抵は中途半端です。

以前、どこかで展開しているフィットネスクラブの会社の方が、三浦先生と私のところに来て、プログラムに操体を入れたいと言ってきたのです。

 

三浦先生が指導に行くならわかりますし、納得できるのですが、彼らは「自分達がならって、それをフィットネスクラブで指導したい」とのことでした。

 

これ、操体を単なるエクササイズとか体操と勘違いしているからなんですね。

例えば、太極拳の講座をやるのに、太極拳は初心者の社員に突貫工事で勉強させて教室をやる、なんていうことはあまりないと思います(あるかもしれないですけど)。

 

操体はそれができると思うのは、やはりPNFとか健康体操だと思ってるんでしょうね。

 

勿論、お断りしました。

 

さて「大抵は中途半場です」と書きましたが、何故かと言うと、人間のからだというのは「○○だけやればOK」的な、そんなに単純なものではないんです。

 

操体では「息食動想+環境」という昔からある「最小限必須責任生活条件」というものがありますが、近年はこれに「重心の正不正」というものを加えて、健康をみています。

これらは、密接に関わり合っていて、どれかが悪くなると他も悪くなるし、どれかが良くなると、他も良くなってくるのです。

これらを「まとめてバランスを見ているのか」「1つ1つ全く別個のものとして見ているのか」では、違って来ます。

 

昔から

呼吸の専門家
食の専門家
身体運動の専門家
心の専門家
環境の専門家
重心や軸の専門家

 

というのはバラバラに存在していました。

しかし、操体は「これらは皆つながっているのだから、バランスがあるのだから、まとめて面倒みよう、で、我々が1番アプローチしやすいのは「動」だから、身体運動系をメインにいこう」

と考えます。

 

・身体運動だけをみるのか

・身体運動を含め、他のポイントとのバランスをみているのか

の違いです。

 

フィットネスクラブなどで操体を導入しようとして中途半端にこけるのは「身体運動」とか「動き」という点で「からだを動かす」というところしか考えていないからなのです。

 

そういえば、以前、ある学会で顎関節と柔軟性について発表した先生がいらっしゃいました。

奥歯でティッシュを噛ませると、柔軟度が増すのです。


講義の後、三浦先生がその先生に「その柔軟度はどれくらい保つのか」と聞いたところ、奥歯からティッシュをはずすと、元に戻るとのことでした。

 

・すぐ変わるものは、すぐ戻るというのは、我々手技療法家の間では常識です。

 

例えば、鍼を打って視力が一時的に回復したけれど、家に戻ったら元に戻ったとか、施術後は痛みが消えたけれど、すぐ戻った、という感じです。

 

しょっちゅう治療に来て欲しいとか、回数を稼ぎたい場合はいいかもしれませんが、私はそういうことはやりたくない。

 

一度の施術やセッションで、長持ちさせたいのです。

操体は本来、瞬間脱力を用いていたので、即効性がありました。しかし、あえて「遅効性」をねらっているところもあります。お互い忙しいですし、できれば長持ちして欲しいし、慣れれば自分でケアできるようになってほしい。

 

「○○だけでOK」という場合は、サイレン(現象)を止めているだけで、火元や火種を消しているわけではないのです。

 

なので、現象はすぐ止まるけれど、また火元からくすぶってくるわけです。

 

「どこそこを押すだけ」とか「どこそこを○○だけ」のように『○○だけ』というのは、「からだごと」においては、例え変化があっても、一時的なもので、根本的な解決にはなっていないということです。

 

サイレンを鳴り止ませるだけではなく、火種、火元を確実に消火する。

それが現在の、令和の操体です。

 

 

2023年春季フォーラム | Tokyo Sotai Forum

www.tokyo-sotai.com

 

 

 

 

 

リーチ先生と三茶のポルターガイストと法力。

操体をまるごと勉強するのであれば、創始者橋本敬三先生のことを勉強することは大凡必須です。特に、操体の指導者になりたいとか、操体の治療家になりたい場合は。

 

また、操体でセルフケアしたいという場合にしても、操体が単なる体操であるとか、養生法ではなく、病気になる順番と治る順番(操体では、西洋医学とは正反対な見方をしています)や、呼吸、飲食、身体運動、精神活動、環境、重心の軸などの、健康なからだを保つために留意すべき法則などは、知っておくに越したことはありません。


修業中の弟子ではないので「何故やるのか」ということが分かっているほうが、モチベーションもあがるでしょう。

 

そして、橋本敬三先生は、明治30年生まれの医師ですが、なんと、日本文学史にも関係あったりします。ちくま学術文庫に、日本文学史を紹介したものがありますが、その中に「新潟の白樺青年」というところがあり、そこに橋本敬三先生の名を見ることができます。

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白樺派」「民藝運動」というのは、なかなか興味深いキーワードです。

橋本敬三先生は「白樺派」の文学活動に参加していたからです。

新潟医専時代、同学年だった式場隆三郎氏と一緒に「あだむ」の発行に携わっていました。この時代、武者小路実篤を新潟に呼んで講演会を行ったり、柳宗悦の奥方(歌手)の歌唱会を行ったり、新潟で文芸活動に参加していたというわけです。

 

 

先日、操体を受けにいらっしゃる方から、ある本を紹介していただきました。

私も気になっていたのですが、まだ読んでいなかった本です。

 

リーチ先生とは、イギリス生まれの陶芸家、バーナード・リーチのことです。

白樺派民藝運動などに深く関わっています。

民藝とは何か | 日本民藝協会

白樺派」と「民藝」は近しい関係にあったと思ってください。

なお、「あだむ」には、民藝の父といわれる柳宗悦の寄稿がみられますし、岸田劉生(「麗子」のシリーズで有名。白樺派同人との交流があった)のイラストなども掲載されているのです。

 

「リーチ先生」ですが、主人公のコウちゃん(焼き物の手伝いをしている)は、イギリスからやってくるという「リーチしぇんしぇい」のお世話することになります。

リーチしぇんしぇいと交流するうちに、リーチ先生は「コウちゃん、あなたのお父さんはオキ・カメノスケといいませんか?」と聞かれますが、まさにその通り。コウちゃんは、お父さん(カメノスケ)が亡くなったために、窯元の師匠に弟子入りしていたのでした。

 

そして、亡くなったお父さんは、リーチ先生に陶芸を学んでいたのでした。


時は遡って明治、横浜で外国人の中で育ったカメちゃんは、耳で鍛えた英語ができます。ある日、これから渡英するという若者に出会い、父親を紹介されます。

若者の名は高村光太郎。父は高村光雲

カメちゃんは、高村家の書生になるのですが、しばらくして、ロンドンで光太郎から日本の実家の住所を教わったという若き日のバーナード・リーチが高村家を訪れるのです。

柳宗悦岸田劉生なども登場し(コウちゃんとカメちゃんの親子はフィクションですが)、フィクションとノンフィクションが絶妙に絡み合い、白樺派民藝運動が盛んになった頃の、若い芸術家達の横の繋がりを考えると、思わずページをめくる手が早くなります。

橋本先生は勿論登場しませんが、こういう時代に新潟の白樺派青年として、芸術活動に青春していたんだなあ(今で言えば推し活とも言えなくはない)と思うと、なんだかちょっと嬉しくなってきます。

 

 

そしてもう1冊。

3月の末頃、三茶の駅に「三茶のポルターガイスト」というポスターが貼ってありました。最初見過ごしていたのですが、何だか気になって検索してみると、映画ではないですか。

www.poltergeist.jp

今まで三茶にそんなスポットがあるとは。

三茶住民歴が長い三浦先生に聞いてみても「知らない」とのこと。

それ、どこだよ、って知りたくなりますよね。

というわけで、

この本を読んでみました。

というか「横澤さん」という名前で「あ、あの看板があるビルだ」と分かりました。

なお、日本一の物件ならばもうちょっと有名でもよかろうと思うのですが、著者の横澤さん曰く「そんな凄いスポットだとは思っていなかった」んだそうです。。。

 

ちなみに、一階に全国展開しているお菓子屋があり、売上げも日本一だったのに、急遽閉店したとか、一階にコンビニがあったけれども、これもいきなり閉店したと書いてありましたが、

 

あ、確かにいきなり閉店したよ
たしかに、コンビニが閉店してまだシャッター閉まってるよ

 

ちなみに、このビルの前はよく通りますが、通るだけで、入ったりしたことはありません。確かに古い雑居ビルだよなとは。。

 

ちなみに、心霊スポットといっても昔何かあったとか(井戸はあったらしい)そういうことはなさそうですが、何か集まってくる(想念や思念が霊体という形で具現化するのかも)のかもしれません。

 

こういう場合は、別にそこに住んでいるわけではありませんし、遭遇したいとも思わないので、敢えて近寄らず、というスタンスをとることにしています。

遊び半分で近寄ることはありません。

ちなみに、こういう時って必ず「そんなのオレが見とどけてやる」とか、妙に心霊現象に対して好戦的になる人がいますが、そういう人が三人、ギャンブルに狂って人生ちょっと棒に振った的な話も載っていましたが、その通りなのです。面白半分に近寄らないことです。

 

映画は怖くて見に行けません。。。

 

 

映画は「シン・仮面ライダー」を見ちゃいました。

これはこれでまた。

 

「健康寿命」と操体。

操体は、どこか痛いとか辛いとか、そんな時に「治すため」に使われるだけのものではない。
 
  • 未病医学(健康な人が病気にならないための医学。からだの使い方、動かし方、呼吸のしかた、飲食、精神活動、軸、環境など、橋本敬三の哲学をも含んだもの)
  • 治療医学(いわゆる治療)
  • いやし
  • 免疫力がアップする

 

こういう側面があるが、大抵は「治療」として見ている。

ところが、操体はそれだけでなないのである。

 

ここから派生して、パフォーマンス向上なども含まれてくるのだが「未病医学」に含まれているものだ。パフォーマンス向上とは、運動効率を上げ、疲れにくくなり、フォームが美しく、身心が安定することに繋がる。

 

 

4月29日の春のフォーラムのテーマは「健康寿命につながる健康学」。
 
 
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。
 
寝たきりや要介護の期間を除いた期間のことだ。
 
平均寿命は延びているけれど、健康寿命はどうなんだろう。

 
 
呼吸法のプロがいる
 
 食養のプロがいる
 
身体系・運動系のプロがいる
 
心の問題のプロがいる
 
重心や体軸に関するプロがいる
 
これらは健康寿命にとってはとても大事なことなのだが、いかんせん、本当はひとまとめにして全体を俯瞰しなければいけないのに、バラバラに扱っている。
 
これに、現代人がかなり鈍くなっている「原始感覚(好きかキライか、あるいは快か不快か)」を目覚めさせ、息食動想、軸の全ての方向から面倒を見ましょう、
 
で、これらは皆繋がっているので、まずは「動」(今は息でも軸でも構わない)からアプローチして、みんな一緒に面倒見ましょう、というのが操体の基本だ。
 
健康寿命にとってだいじなこと、全部面倒見ましょう」というのが操体なのである。
 
 
勿論年をとればガタがくるし、メンテも必要になる。それはからだを使っているのだから、当然だ。
 
それを「ありがたくからだを使わせていただいている」というスタンスで、
 
普段から「からだの使い方、動かし方」や、その他秘密のエトセトラ※などの工夫などによって、遅くしたり、メンテの頻度を下げるのだ。
 
※こういうことを「操体のプロ」は勉強するのです。
 
操体は、どっか痛いとか、そういう対応だけしているわけではないのだ。
 
我々は、20代30代の頃から「未病医学としての操体」を勉強しているので、例えばちょっとやり過ぎて病気になっても回復が早かったりする。
これは間違いないし、もう少し始めるのが遅くても、大丈夫なのである。
 
そして操体の面白いところは「完璧を求めない」ということだ。
 
六割できていれば良しとする。
 
 
元気で健康に暮らすための、最低限のルールを守り(これが操体のキモである。どのようにからだを使ったらいいのか、ということ)完璧を求めず、六割程度で良しとし、頑張らず欲張らず、というのが未病医学、つまり健康寿命につながる。
 
 
ちなみに、操体のお陰で免疫力はアップしていると思うが、コロナのワクチンを打った時は、高熱が出て1ヶ月くらいは本調子に戻らなかった。
 
 
 

はじめての操体法(序1)

操体を自分でやろう!と思った場合、

 

1.今は何も問題がなく、健康維持増進のために操体を体得したい

2.どこか調子が悪いところがあるので、操体でメンテナンスして自分で治したい

主にこの2つが考えられると思います。

 

この2つ、実は違います。

 

それと同じで、操体の指導者になるのと、操体のセルフケアを自分でできるようになるというのは、全く別のことです。

 

操体の指導者(治療家)になりたいのであれば、数年間しっかり勉強して下さい。

なお、私はよく受講生に言うのですが、

操体を学ぶということは、2つの道があります。


1つは、第一分析(楽な方に動かして脱力)にとどめ、「快」(第二分析以降)には手を出さないこと

もう一つは、第二分析以降もしっかり勉強し、沼にはまることです。

 

上澄みでいいなら上澄みの(楽)だけやって、「快」には手を出さないことです。

 

ここで、欲張って手を出すので「楽な方に気持ちよく」とか「きもちよさを探す」とか「どっちがきもちいいですか」のように、誤った「快」の解釈をしてしまうのです。

この、解釈の誤りが「操体ってわかんない」に繋がっています。

 

あ、これは操体指導者の話でしたね。ついつい(笑)

 

ここでは

 

普通一般の方は、操体をはじめてやる場合のヒントをご紹介いたします。

 

先程

1.今は何も問題がなく、健康維持増進のために操体を体得したい

2.どこか調子が悪いところがあるので、操体でメンテナンスして自分で治したい

 

の2つを挙げましたが、2のほうが圧倒的に多いのではないでしょうか。
つまり、セルフケアの前に「まずは治してからね」というケースです。

 

そして、これが操体の特徴。

操体は、何故か人生を変える。

操体は、何故か人生を変えます(私も変わった)。

それは「快・不快」をききわけ、選択する力がつくからだと思います。

 

操体は、一生モノの財産である

操体の特徴で、あまり知られていないのが少し残念でもあるのですが「からだをこわしにくい、つかれにくい、使い方・動かし方」を体得することができます。

使い方、動かし方がわかっている、ということは「なんとなくだけど、治し方や、元に戻す方法もわかる」ということになります。

これは一生モノの財産です。

 

操体は、反復と継続である

一生モンというのは本当です。

思い出す話があります。私が駆け出しの頃、操体を受けに来ていた方で

操体を一度受けて良くなったら、もう二度と悪くならないんですか」

と、真面目に聞いてきた人がいました。

う~ん、使い方が悪かったらダメだね!

 

人間、からだを使えば(使い方が分かっていれば、消耗の度合いは軽く済みます)、疲れるし消耗します。

操体を使うのは「消耗したり使いすぎたりした場合のメンテナンス」です。

1日からだを使ったら、ちゃんとメンテナンスする。それを続ける。

勿論たまにはサボるかもしれないけど、続ける。
顔を洗って歯を磨いて着替えをする。それと同じです。

 

ちょっと違うのは、操体は「きもちよさ」というご褒美がついてくるので、「今日もやろうっと」というモチベーションが湧きやすいのです。

 

最初から「お!これはキモチよさがある!」という方もいますが、大抵の方は、自分の感覚に注意をはらう習慣がないため、まずは「感覚の勉強」をします。

 

「きもちのよさ」を味わえるようになるには?

操体(第二分析以降)は、ターゲットが「楽(な動き)」ではなく「快(感覚)」になってきます。感覚の世界に入るので、それはひとそれぞれです。

「快」というのは、それまでの人生経験や、性別、年齢などにもかなり左右されます。

ちなみに、きもちのよさを味わえるようになる、1番の近道は「質の高い操体における快」を、操法を通じて受けることです(やっぱり最初はプロにやってもらうのが、ショートカットです)。

1番は「足趾の操法®」を受けることです。

わたくし、個人的にはこれが「万病を治せる妙療法」ではないかと思っているくらいで、診断と治療と癒しを一辺にできちゃう。すごいんです。

 

そして、もうひとつ、これは操者の秘密なのですが、足趾の操法というのは、受ける側だけではなく、やる方(操者)も、何故か元気になるという操体ならではの現象も起こります。

 

操体の指導者(施術者)は、相手の感覚の領域にまで関与するため、その辺りはしっかりトレーニングします。

 

これをやっていない人が「楽な方にきもちよく動いて(楽と快の混同)」とか「どちらがきもちいいですか(楽な動きは比較対照できるが、快は感覚なので比較対照しにくい)」とか「きもちよさを探して(動診@診断と操法@治療を混同している)」ということを言ったりします。

 

再三言いますが、私は操体でなければ、文句は言いません。しかし、操体指導者で、このようなことを言う方は、ちゃんと勉強しなさいと言います。

 

  1. 「楽な方にきもちよく動いて」(楽と快の区別がついていない)
  2. 「どちらがきもちいいですか?」(楽と快の区別がついていない)
  3. 「きもちよさを探して」(動診と操法、つまり診断と治療の区別がついていない)

 

この3つが出てきたら、要注意です。

 

また、「心地よさ」という言葉で誤魔化している場合もあります。

これは、操体の動診で「快」を提供できないので、「心地良い」という「快」の度合いではちょっとランクが下の言葉を使っているのです。

 

 

これらは、操体における「楽と快の違い」「動診(診断)と操法(治療)の違い」という、操体の第二分析におけるキモがわかっていないということです。

 

しつこく書いていますが、はじめて操体をやってみたいとか、受けてみたいという場合は、本とか動画ではなく、実際にプロの指導を受けるのが、急がば回れの早道だということなのです。

 

もし、アナタが、どこかに症状をかかえていて、それで操体をやってみたいと思うのであれば「健康体操」「養生法」的に操体をやっているところではなく、実際に「操体の治療」や、「操体臨床」をうたっているところで、まずは「セルフケア」をできるレベルまで調整することをお勧めします。

 

健康体操は「ある程度元気で動ける人が、これからも元気で過ごせるように」というのが目的です。つまり、元気な人が対象なので、どこか痛いとか辛いという人向けではないし、施術や治療、操体臨床(操体治療の現場)ではありません。

健康体操の先生は、健康指導はできるけれど、からだを壊しており、セルフケアができるような、健康度合いの人の治療や施術ができるわけではありません。

 

よくあるのが、健康体操教室的な操体指導教室で「腰痛を治して欲しい」とか「膝が痛いのを治して欲しい」と、健康体操のセンセイにお願いするというケースですが、これは、責任過多というものです(そういう話は結構ききます)。

 

しかしながら、操体のプロは、操体の治療・施術も可能ですし、健康体操的・養生的な指導もできるのです。だからプロなんですけどね。

 

なので、まずは操体のプロのところに行くのが近道なんです。

 

というわけで

施術+ベーシック講習 | 操体法の講習 | 操体法 TEI-ZAN操体医科学研究所

www.teizan.com

 

2023年春季フォーラム | Tokyo Sotai Forum

www.tokyo-sotai.com

 

 

そういえば、腰痛体操ってありますよね。

あれ、腰痛を治す体操ではありません。腰痛にならないために筋肉をつけるとか、体幹を鍛えるための体操です。

ひどい腰痛の人が、腰痛体操をやったからといって、腰痛がなおるのではありません。

 

まずは腰痛を治してから、腰痛にならないための筋力や筋肉をつけるためなんです。