こんにちは。
11月23日(勤労感謝の日)に、2024年秋季東京操体フォーラムを開催致します。
今回も「実技」をかなりやります。
見る、受ける、やってみる、という体験型のフォーラムです。
また、今回は「操体指導者」をメインの対象にしています。
操体の指導において、疑問などはありませんか?
「本とかで見たけど、実際どうやるのかわからない」という方もいらっしゃると思いますし、
・手はどうなっているのか
・支えている手はどうなっているのか
・脱力した後はどうするのか
そんなことにもお答えできるかと思います。
さて、毎回掲載している「実行委員からひとこと」の、私の投稿を選り抜きで載せたいと思います。
実行委員からひとこと(2024秋季) | 2024年秋季東京操体フォーラム | Tokyo Sotai Forum
www.tokyo-sotai.com
「操体法の指導について」畠山裕美
今回の東京操体フォーラムは「操体を指導している」方向けにお話しようとおもっています。
操体を「自分ででき・ひとりでできる」と思っている方は、たくさんいらっしゃると思います。
ただ「ひとりでできる」ということは、必ずしも「独習・独学できる(本とか動画をみればできる」というわけではありません。
また、操体は「自分で動いて治せる」という認識をしている人がいますが、よく考えてみてください。
もし「自分で動いて治せる」のだったら、操体は今頃全世界に広がっていると思いませんか?
残念ながらそんなことはありませんが、どんな凄いものでも広がりにくいのには理由があります。
実は、世の中に存在するメソッド的なものは、二段階になっています。
① 基本となる土台の考え方(や基礎動作)
② テクニック
の二段階です。
大抵は、②のみが流布するのです。
全く効果がないとは言いませんが、多くの人はテクニックに奏功や即時性を求めます。
なので、凄いものでも広がりにくいのではないかと思います。
例えはおかしいですが「女性にモテるテクニック」というのがあり、そのテクニックを駆使しても、あきらかに不潔だったり、臭ったりする場合は、テクニックが役に立たない場合があります(汗)。
つまり、モテたいのであれば、基本となる土台の考え方である「清潔で臭わない」ということは非常に大事であり、モテるテクニックは、土台があってこそです。
これを「このテクニック、効果ないじゃないか」と、テクニックの考案者を恨み、不潔で臭うスタイルは変えず、別の新たなモテテクに手を出すのです。
まあ、世の中には不潔で臭う人に大変に惹かれてしまう、と言う人もいないわけではないと思いますが、大抵は違うはずです(汗)。
この場合、テクニックが効かなかったのではなく、基本の土台である「清潔感があり、臭ったりしない」ということを押さえておかなかったのです。
橋本敬三先生は、患者さんには「操体は簡単だヨ。家でもちょこちょこやってごらんなさい」とおっしゃいました。
一方、弟子には「よくもこんな大変なこと(操体)に足をつっこんだな。でも、操体は面白いぞ。一生たのしめるからな」とおっしゃいました。
これ、どうして?って思いませんか?
私も長いこと考えていたのですが、最近やっと気持ちを言語化することができました。
そもそも橋本敬三先生は、患者さんを治療する医師という立場で操体を創案しました。
つまり「考え方の土台となる基本、からだの使い方、動かし方を習得している」というのが前提です。
「一生たのしめるくらい大変だが面白い」という部分です。
患者さんは、指導者が「一生たのしめるくらい大変だが面白い部分」をマスターしていて、患者さんがそこを知らなくても、全くの初心者でも、指導者が文字通り指導してくれるので「簡単に」操体を体感できるのです。
ひとりでできる、と独学できる、は違う。
プロ(考え方の土台となる基本、からだの使い方、動かし方を習得、つまり橋本先生が「一生たのしめるくらい大変だが面白い」、とおっしゃった部分)の助けがあれば、患者は「比較的簡単」に「操体」を体感できる。
世の中には、橋本敬三先生が患者さんに言った「簡単だよ」と言う言葉を鵜吞みにして「操体は簡単にできる」なので「操体指導者になるのは簡単」だと思っている人もいます。そんなことありません。もしそうならば、操体のプロ(操体専業)は、もっとたくさんいるはずです。
一人でできる、自分でできる、ってことは「独習(動画を観たり本を読んだりして)してテクニックを覚えればいいんだ」と思っている人もいるかと思いますが、そうではないんです。
「考え方の土台となる基本、からだの使い方、動かし方」を、全くしらない個人が、動画や本を読んで操体を実践するのは、かなり難しい。
「一生たのしめるくらい大変」なことだから。
ちなみに「私は治療家じゃないし、自分のケアをしたいだけだから、テクニックだけしっていればいい」という方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、独学で操体のセルフケアができるようになるには、
① 基本となる土台の考え方(や基礎動作)が必須なのです。
今回は、実際に「他者に操体を行う操体指導者がどのようなことをやっているのか」ということをはじめ、操体指導者の皆さんに役立つ情報をお届けしたいと思います。
操体は②のテクニックだけでは、21世紀を乗りこえることができないかもしれません。
最近の風潮ですが、②のテクニックの流布だけの時代が終わっているように思えます。
みんなが「上っ面のテクニックだけいくらやっても効果は出ないのでは」と気づきはじめ、①基本となる土台の考え方 の重要性に気づいてきています。
そのあたりをお伝えできればと思います。