操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

敬語

ヒーラー(治療家)は、カウンセラーでもあるべきだと思う。単なる治し屋さんで、痛みがとれればおしまい、というものではないと思う。
場合によっては、疲労困憊しているクライアントに、操体の素晴らしさや思想を延々と説いても解決にはならない。そういう場合はまず、相手の話を聞くことだ。更に病んだ状態の方に対しては、何気ない一言がダメージを与えることがある。『想』を掲げる操体実践者である私たちもそれには留意しなければならない。



最近気になるのが、敬語。丁寧語と尊敬語と謙譲語しかないのに、

驚くほど尊敬語と謙譲語の使い間違いが多い(私もたまにやるが)



例があるのであげてみよう



拝見する

×「ちょっと資料を拝見して下さい」

拝見する、は謙譲語だから、まるで「ありがたがって見なさい」という感じ

参る

テーマ:イベントの雨天決行で傘の携帯を促したい時

×「雨天でも結構します。傘を必ずご持参になって下さい」

持参する、は謙譲語なので間違い。尊敬語では「お持ちになってください」

テーマ:相手の話の意味内容を利用しようとするとき

×「社長が申されますように」→時代劇で武士の言うせりふで丁寧な言葉と思われがち。「社長がおっしゃるように」

例外:申す、は本人や所属先、身内にも使う。

『弊社の者が先日申し上げましたように」=所属する会社



おる テーマ:相手がある場所にいたことを説明しようとする時。

×「そういえば。先日の企画会議に山田様がおりました時に」

「おる」も謙譲語。相手に対して使うのはミス。正しくは「山田様がいらっしゃったときに」

テーマ:相手に電話を繋ぎなおして欲しい時

×「申し訳ございませんが、私共ではなく、直接メーカーに伺って下さい」

→伺う、は頻度が高いがあくまでも謙譲語なので、相手に使ってはいけない。正しくは「お問い合わせ下さいませんでしょうか」「おたずね下さいませんでしょうか」



ミス防止のポイントは、謙譲語は相手に使わない。また尊敬語を自分に使わない。

敬語の基本は、1)謙譲語の主語はかならず自分

2)尊敬語の主語はかならず相手





知らず知らずのうちに・・



「もらう」



たとえば、物を相手に差し上げる場合、うっかりすると

「山田さん、この時計あげます。ぜひもらって下さい」

(うんと親しい相手なら「あげるから、つかって」とかになるだろう)

「もらう」には「〜〜してもらう」など、上から下が受け取るという意味になる。結果的には山田さんより自分をもちあげることになる。「是非差し上げたいと思います。お納め(お受け取り)下さいというべきだ。



色々細かく書いてみたが、その時時にも流行り言葉があって

ある程度の年齢の方は「最近の若いもんの言葉は乱れている」

と、奈良時代から言っていたようです。