操体法大辞典

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般若身経についての詳細開設(自然体とは)

自然体というのは、簡単な定義であって実は難しい。どのようなスタイルを自然体というのか。



・足は腰幅

・つま先と踵は平行に

・背筋は軽く伸ばし

・目線は水平正面に

・膝の力をほっ、と抜いて、拇趾の付け根あたりに体重がかかる



これが自然体を指す。



40年程前の、般若身経のガリ板刷りのものには(書籍などには収録されていない)『足の土踏まずより前に心を置く』と、ある。



50年程前に発表された『集約運動』(誰にもわかる操体法の医学、に収録)は、ガリ版刷りのものとほとんど変わらないが、これには

『足の土踏まずより前に心を置く』とは書かれていない。



更に、一番売れていると思われる『万病を治せる妙療法』にも

『足の土踏まずより前に心を置く』とは書かれていない。

(これは、85歳を過ぎてから橋本先生が『アレは間違いがある』と、言われたそうだ)



『からだの設計にミスはない』で、はじめて『膝のちからをホッとゆるめる』という言葉が出てくる。



膝のちからが緩まるとどうなるのか?

『足の土踏まずの前方に心が置かれる』つまり、足の親指の付け根あたりに体重が乗ってくるのである。



これが何故大事なのかというと、膝をゆるめるかゆるめないか、

心を土踏まずより前に置くか置かないかで、足の体重のかかる場所が違ってしまうのだ。



その人が立ちやすいのが自然体、という解釈もないことはないが、

操体を学ぶ、あるいは他者に指導するという事は、自然体という言葉ひとつにしても、何故、橋本先生がそのように書かれたのか、再考してみる必要がある。

(誤解を招かないように加えておくが、ハンディキャップのある方や、大腿部が極度に発達した場合、あるいはボディに著しい歪みが

ある場合は、この自然体をとることが難しい場合もある)



何故

足は腰幅なのか?

何故

つま先と踵は平行なのか?

何故

膝の力は軽く抜くのか?

何故、背筋を軽く伸ばして、目線は正面につけるのか?