前項の「動診」にも書いたが、視診、触診は構造力学的な診方である。で、実際操体を行うには「動診」ができる前に、視診、触診ができるのが前提なのである。
今回改めて思ったのは、毎週サブ講師として参加している、操体法臨床講習会での話だった。
触診、といえば、膝窩(ひかがみ)の圧痛、硬結に触れる、というのはかなり有名な触診法だが、あれは結構難しい。慣れた方だったら両膝をさっとかするだけでもわかる。しかし、慣れないとなかなかわからないのだ。実はこれもきちんとした、橋本先生から伝わる「作法」というものがあり、ただやみくもにぐりぐりしごいたり、押してみたりしてはいけないのである。
で、逃避反応というものがある。触診した場合「そこ」にぴたりと一点当たると、患者は無意識のうちに逃げる。これは無意識のうちに、整復コース(治る動き、つまり不快から快への道)を示している。逃避反応、つまり痛みから逃げさせる操法もないことはないが、整復コースに乗せて、きもちよさが聞きわけられ、味わえる場合が多い。