Amazonのサイトで、『操体法』と検索してみると、やはり売れているのは
・万病を治せる妙療法
・操体法の実際
・誰にもわかる操体法の医学
・ひとりで操体法
・腰痛を治せる操体法
など、農文協の本が圧倒的に多い。確かに入手しやすいし、一般の方が操体法とはなんぞや、という入門編にはぴったりだと思う。
上記のうち、「万病」と「「誰にも」は、橋本先生の連載をまとめて編集したものと、今まで発表された原稿を編集したものだ。
「誰にも・・」は監修となっているが、当時ご高齢で、『監修ということでお願いします』(多分、細かいチェックなどはされていないと
思う)なのではないか。
これらは、ウィキペディア(前項参照のインターネット上百科事典)に書かれていた「客観的」な時代の操体法を紹介している。
つまり、左右比較対照して痛くない方に動かして、息を吐きながら瞬間脱力させるという時代のものだ。
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橋本先生は、85歳の頃には
「楽ときもちよさはちがう」
「呼吸は自然呼吸でいい」(感覚をききわけにくくなるから)
「動きより感覚の勉強をしなさい」
「きもちよさを味わうのが大事なんだ」
と言われていたそうだ。
ウィキペディアにおける、「主観的」な時代に入っていたのだ。
きもちよさに従った操体をやるには、動く方向も、たわめのマも、呼吸も、回数も
『ラクなほうに、3〜4秒たわめて、息を吐きながら瞬間脱力』というわけにはいかない。
そして、このような事実を知っている人は少ない。
その頃の橋本先生の言葉は「操体法治療室」(たにぐち書店)に
出てくるが、たにぐち書店は東洋医学関係の専門書店なので、
この本を書店で見る事は余りない。
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操体は晩年の橋本先生にはじまり、すでに「本人にしかわからない感覚をききわけさせる」という『主観的な時代』に入って久しいのに、売れている本は正体術時代とほぼ同じの『客観的な時代』だというのは何とも言えない。
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