サンクロンとは、熊笹の原形質液を抽出した医薬品だ。
と聞いて「にやり」とした貴方は、操体「通」である。
橋本先生も著書の中で「飲んでいる」と書かれているし、「操体法治療室」にも出てくる。確か、ビデオで温古堂のどこかにサンクロンのポスターが貼ってあった気もする。
今年8月、『操体法 −生かされし救いの生命観−』を書いているとき、橋本敬三を巡る哲学・人物について色々調べていた。
インターネットで、操体っぽい単語でリンクを辿るのである。
丁度この時期カンが冴えていて、頭の中に単語がぽんぽん浮かんできた。それをネットで検索して、リンクを辿るのである。
そんな時に浮かんだのが「サンクロン」という単語。
引いてみると、初代社長、金子卯時雨医学博士の名を見つけることが
できた。1903年生まれ、1994年没。橋本先生と10歳違わない。
金子卯時雨医博は、「日本創建会」という会の会長をつとめた方だ。
以下、引用してみよう。
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日本創建会金子卯時雨先生の「活きるための七つの条件」
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活きるための七つの条件 金子卯時雨
一 、環境がなければならない
一 、生活体がなければならない
一 、神経(心)が働いていなければならない
一 、呼吸をしていなければならない
一 、水分を摂っていなければならない
一 、食物を摂っていなければならない
一、 動いていなければならない
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何かに似ていないだろうか。
そう。『息・食・動・想+環境』だ。
サンクロンを愛飲していたということは、この「活きるための七つの
条件」も知っていたに違いない。
操体の「息食動想+環境」思想というものは、橋本先生のオリジナルではなく、様々な先人、同時代人からの影響を受けて完成されたものなのだ。
そこで、師匠に聞いてみた。
『サンクロン?金子卯時雨先生?』
『そういえば、ちょくちょく温古堂に顔を出してたな』
やっぱり。
というわけで、サンクロンをネット通販で買い、三本セットの一本を師匠に差し入れた。