操体法大辞典

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奇跡 (操体法以外)

操体法以外のジャンル

岡本敏子さんには、あるパーティでお会いしたことがある、というか至近距離で松岡正剛さんに抱きついているのを目撃したことがある。
確か「きゃ〜っ」のような、叫び声をあげていらっしゃった。何というか、万年少女のような方だと思った。
(奇しくもそこは、太郎のお別れ会が行われた、草月会館だったことを後で知った)

奇跡

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その後、岡本太郎美術館でのイベントに行くチャンスがあったのだが、私はもう一つのイベント、新宿朝日カルチャーセンターで行われた、養老孟司茂木健一郎トークセッションのほうに行った。こちらに行かず、美術館に行っていたら、敏子さんにお会いできていたかもしれない。

敏子さんは昨年、急逝した。


私はそれまで敏子さんについてはよく知らず、養女であるということは知っていた。確か『ゴーマニズム宣言』で小林よしのり岡本太郎に会いに行った話で、その時既に恍惚の人となっていた太郎氏の世話をしていたのが『養女』の方だったと
覚えていた。

その後、ふとしたきっかけで、敏子さんは岡本太郎の実質上の妻であった、いうことを知った。太郎が1996年に亡くなってから、その後再評価されたのも敏子さんのお手柄だと聞いている。

今年の夏、汐留に行く機会が何度かあり、日本テレビの前に、復元された「明日の神話」(原爆が炸裂した瞬間を描いと言われている)を何度か見に行った。その近くに大きな書店があるのだが、そこでふと、手に取ったのがこの本だ。

これは敏子さんの処女小説らしい。
読み終えての素直な感想は、「すごく幸せな人だったんだな・・」

主人公は勿論敏子さんがモデルで、相手役の若手建築家は勿論岡本太郎がモデルである。
実年齢ではこの二人は15歳違う。敏子さんが太郎に出会ったのは21歳の時。
私は年をとってからの太郎しか見たことがないのだが、若い頃はさぞかし素敵な人だったのだろう。

内容の7割は官能的な描写ばかりだが(多分、実体験に基づいていると思われる)、処女喪失場面などは相当緻密な描写であるし、熱を出して伏せっている彼女を看病している恋人が、汗を拭いたりしているうちに、欲情に火がついて主人公を容赦なく襲う場面などの描写もいい。男が手塩にかけて女を育てていくのである。

こういう記憶のある女は幸せな部類に入るのだとおもう。また、才ある男に愛されるというのも、一つの才能なのだろうか。

なお、小説中では主人公の恋人は彼女の元の上司が酔った勢いで殴ったせいで、頭蓋骨骨折で急死してしまう。
大切な人を亡くして、そこから彼女が成長していく過程が描かれる。
それから、どのような奇跡が起こるのか。読んでのお楽しみ。