『例外』に強い操体
本来『何々にはどの操法』という概念がない。
なので、残念かもしれないが『腰痛に効く操体』とか『寝違えに効く操体』というものはない。
大抵、『○○に効く』というのは『効いたこともある』『効くこともある』『あの人には効いた』程度に考えたほうがいいと思う。
あるとしたら、経験値によって、『効果があったこともある』とか『経過が良かった経験がある』ということ位だろうか。
こういう経験値が積み重なって、経絡などが生まれてきたのだろう。
ちなみに、○○にはこれ、△△にはこれ、というようにパターン化するという試みを、操体に関してやっている方もいらっしゃった。
一覧表になっていて「この症状にはこの操法」というものだ。
これらの表をよく見ると、気がつくことがある。
例えば腰痛、寝違い、肩こり、膝痛、婦人病など色々分かれているものの、挙げられている操法は大抵重複している。
それだったら、最初から分けなくてもいいじゃないか?と思うのだが「治りたい」「治したい」という治療者、患者にとってはこちらのほうが魅力的なのかもしれない。動診操法の選択においては自分に責任はないのだから
また、○○には××、というようにパターン化すると、誰が一番楽をするかというと、そのやり方を教える人間が一番楽をするのだ。
その昔、操体の講習をやっていた(8年以上前)旧貞山時代、足関節の背屈、膝の左右傾倒、伏臥膝腋窩挙上を教えていたが(今はこのような教え方はしていない)、受講生の中には、『操体法というのはこの順番でやるものだ』と信じていた人がいた。
その受講生はある時、私がクライアントに動診操法を行うのを見て、
『習ったのと順番が違う』と言ったのだ。
聞いてみると、操法には順番があって、その順番通りにやるものだと信じていたらしい。
また、パターン化すると、一番困ることは何かというと、『例外』である。
実際、例外だらけなのだが。ある事態にあることを試し、それが全く効かない。そういう時に一番困るにきまっているのだ。
パターンで覚えていると、こういう時全く無力となる。
となると、やはり視診触診動診に加えて、新たなる操体の診断法である
●診はこれから必要不可欠になってくるのだろう。
勿論、ある程度経験を積めば、「こういうときにはこういうことをやると、いいことが
多い」という引き出しに、視診触診動診●診などをフル活用して操法を選択すれば
いいのだ。
だから、操体は『例外』に強いんだな。