操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

コミュニケーションのための催眠誘導


『観察が下手な人は、コミュニケーションもうまくいかない』より引用。


『相手に同調するにはまず相手を知る必要があります。コミュニケーションのうまい人は、必ず相手をよく観ています。聞き上手などと言われる人は、話を聞きながら常に相手を観察しているのです。逆に言えば、人間関係に問題がある人に共通した特徴は、相手を観ていないということです。自分が他人からどう見られているかということだけで頭がいっばいになってしまっている。』

これは手痛い指摘。私達は人様の身体に触れさせていただくという職業上、観察力は必須である。また、人間関係に問題がある人に共通した特長、ということで「相手を観ていないこと」と、書かれているが、相手を観ないと「視診触診動診」に加え「心診」とでもいうべきステップを踏めないからだ。
また、人に何か聞いたりする場合「自分がこういうことを聞かれたらどう思うか」と考えることも必要だと思う。


『ある男性のことを思い出しました。催眠療法を勉強に来ていた男憧で、ある日、同じ勉強仲間の女性を被験者にして催眠誘導の練習をしておりました。彼はカウンセリング技術を勉強した経験もあるというので、私もどの程度のものかと観ていました。その時は仰臥式に寝た姿勢で催眠誘導するという設定でしたので、女性はマットの上に横になりました。しかし、どうにもスカートの裾が気になる。脚に何か掛けてあげるくらいのことは当然の気遣いですし、そのために部屋にはブランケットも用意してあるのです。ところが彼はそのことに気づいてあげられない。女性はこんをことが気になっては安心して催眠に入っていけないと思ったのか、たまりかねて「脚にコートを掛けてもいいですか?」と訴えました。それに対して彼は「今、一暖房をつけたのですぐ暖かくなるから大丈夫です」と答えたのです。それからおもむろに催眠誘導が始まったのですが、私は部屋を出ました。観る価値はまったくないし、セりフを暗記したことをアピールしに来ているだけなら、私から教えることは何一つないからです。』

これには納得した。というのは、昔操体を習いに来ていた男性でこれと同じようなことをした人がいた。
また、ここまで行かないが私がクライアント(女性)の足にブランケットをかけたのを見て『あれは何か臨床上の効果とか操法の一つですか』と聞いてきた人もいた(男性である)。素足でベッドに寝ているのだから足に触れない場合、ブランケットをかける位の気遣いは普通するものだと思う(いずれにせよ、こういうことに気がつかない男子はモテないと思う←すいません)。

例えばちょっと寒いときに上着をかけてくれるとか、泣いた時にハンカチを貸してくれるとか(その前に持ってろよ、というところだが)、「寒くない?」と聞いてくれる男性は女性にモテるはずである。蟹の殻をむいてくれるとか、食べ物系で世話を焼いてくれるとか(す、すいません。完全に自分の好みです)

つまり、私がブランケットをクライアントの足にかけているのを見て、何でかけたのか分からなかったというのは、多分自分の彼女にもそういう気遣いをしない、ということなのである(キビシイですか??)自分の彼女にさえそういう気遣いができないということは、クライアントにはもっとできないということではないか。(ああ、ますますキビシイ?)

と言う私もよく『お前はホントに気が利かないなぁ』と言われてばかりなのだが。


『悪い例で引き合いに出すのも気の毒ですが、彼はこれを読んでも自分のことだと気づかないでしょう。自分のことであると気づいて気を悪くするくらいなら、まだ望みもあるのですが。あらゆるコミュニケーションにおいて、相手を観察するということは基本中の基本です。観察はただ見ることとは違う。「関心」を掩って観ることなのです。』

確かにこれはとても大切なことだ。

ビジネスマンを対象としたあるアンケートの結果、部下の側については、上司に“報告、連絡、相談”がしにくい、話を聴かない上司を信頼できない、やる気を失う”といった問題が提示されたそうです。
 また上司の側では、“色々な情報があがって来なくなる、問題や課題の発見が遅れる、上司の依頼や指示も受け入れてくれなくなる”、といったことが提示されたそうだ。

相手の話を聞くと言うことは心理学的にも、相手からの攻撃性を低減させる効果もあるという。

「あの人と話していると楽しい」とか「あの人には何でも相談できる」というコミュニケーション上手なヒトになりたいと
思う。
何も饒舌になれとか、立て板に水方式でべらべら喋るというわけではない。
また、疲れたり身体の調子が悪いときに一方的に話されたりすると疲れるものだ。