操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

肉体泥棒の罠

肉体泥棒の罠―ヴァンパイア・クロニクルズ〈上〉 (扶桑社ミステリー)

肉体泥棒の罠―ヴァンパイア・クロニクルズ〈上〉 (扶桑社ミステリー)


肉体泥棒の罠―ヴァンパイア・クロニクルズ〈下〉 (扶桑社ミステリー)

肉体泥棒の罠―ヴァンパイア・クロニクルズ〈下〉 (扶桑社ミステリー)


(ネタバレ注意)
"Queen of the Dammed"に続き、アメリカでは1992年に出版されたヴァンパイア・クロニクルズ第4作。
先の『呪われし者の女王』で集合したカヴンも散り散りとなり久しく、レスタト様は何だか一人で寂しい。マイアミで、殺人者とか犯罪者の血を糧にして、クラウディアの夢にうなされたりして過ごしていました。で、寂しいものでレスタト様を始めとしたヴァンパイア、魔女、サイキックなどの超常現象研究集団『タラマスカ』の長、ディヴィッド・タルボット(74歳)の前に姿を現し(ディヴィッドも驚くでしょうな。本物のレスタト様登場だから)、友人となり『ヴァンパイアにならない?』と何度も勧誘しますが、かたくなに拒否するディヴィッド。そこでこんな孤独がずっと永遠に続くのかと、ゴビ砂漠に行って朝日に身をさらして自殺を図るのですが、パワフルなアカシャの血"The first blood"を貰っているため、死なずに日焼けしてしまう(日焼けして一層格好いい??)のでした。
それから憂鬱でアンニュイな生活を送るレスタト様のところに、ラグラン・ジェィムズという怪しい人物から何度かメッセージが届くのです。『私の人間のカラダと貴方のヴァンパイアの身体を何日か交換しない?』ラグラン・ジェイムズは泥棒稼業をしていたのですが、何年か前刑務所にいる時にガンで死にかけたのですが、持ち合わせた心霊的能力で、他人の身体と魂をスイッチできるという、まあ、不死身者(インモータル)の一種だったのです。
レスタト様はディヴィッドにそんなことやめなさい、と説教されますがそれを押し切って、ラグラン・ジェイムズを身体を交換してしまったのでした。久しぶりに人間のカラダに戻ったレスタト様の反応が面白い。今まで久しく用無しだった股間の異物(爆)で久しぶりに小用を足すとか(この辺りの描写は原書のほうが面白いと思います)、持ち方を忘れて飛ばしちゃうとか。ついでにお腹も空くし、人間って大変だ!とすぐ飽きてしまうのでした。この間、女の子に手を出したり、人間だった頃はコンドームなんてありませんから、勿論そういう知識なし。それで女の子に怒られちゃったり、散々です。で、ラグラン・ジェイムズはレスタト様の身体を返そうというつもりは全くなく、逃げちゃうのでした。冬だし寒いしお腹空いたしで、レスタト様はワシントン・DCで肺炎で行き倒れてしまいます。そこでアフリカから一時帰国していた修道女、グレッチェンに助けられ介抱され、元気を取り戻すのでした。ちなみにグレッチェンは40過ぎの処女(まあ、修道女ですからね)。レスタト様(身体はラグラン・ジェイムズなんですが)は彼女の初体験のお手伝いとかしちゃったりします。
それからレスタト様(身体はラグラン・ジェイムズ)は、仲間に助けを求めますが、マリウスは怒るし、ルイに「ヴァンパイアにしてくれ」と頼んでも「ダメ」と断られてしまい(ルイはレスタト様が人間の身体に戻れて幸せだろ?と思ったのでしょう)これまた散々。
しかし、レスタト様の身体を盗んだラグラン・ジェイムズは相変わらず宝石泥棒をして荒稼ぎ。なのでレスタト様とディヴィッドに行動がバレバレになってしまうのでした。例えばクイーン・エリザベス二世号に乗って、犠牲者の血を船の配水管に流しっぱなしにするとか。船で死者が出て、排水溝に血が流れていたらそりゃ目立ちます。
船でラグラン・ジェイムズを追い詰め「身体返せ〜」と、迫るものの運悪く太陽が昇ってしまいレスタト様が日光から逃れている間にラグラン・ジェイムズはともかく、愛しのディヴィッド・タルボットまで船から失踪していたのでした。残念!口惜しいぞ!
しばらくして、レスタト様はやっとディヴィッドをフロリダで発見しますが、びっくりしたのは今までいくらヴァンパイアにならない?と誘っても乗らなかったディヴィッドがヴァンパイアになりたい、と頼むのです。こりゃ変だ?実はラグラン・ジェイムズ、レスタト様の身体とディヴィッドの身体を交換していたのです。ややこしいですが、つまりレスタト様の身体にはディヴィッドが、ラグラン・ジェイムズの身体にはレスタト様が、ディヴィッドの身体にはラグラン・ジェイムズが入っているわけですね。
それを知ったレスタト様、怒ってデイヴィッド(中身はラグラン・ジェイムズ)をぶん殴って殺してしまいます。頭蓋骨骨折です。すると残っているのはラグラン・ジェイムズの身体(これも本当はラグランが誰かから盗んだ身体なんですが、見かけは超ドハンサムなインドっぽいルックスらしい)に入ったレスタト様と、レスタト様の身体に入ったディヴィッド・タルボット・・・盗み主のラグランがディヴィッドの古い(74歳)の肉体と一緒に死んでしまったのですが、死に行く際、元々の身体(ラグラン・ジェイムズ)に戻ろうとトライしたため(ややこし・・)結果的にはレスタト様は元の身体に、ディヴィッドは余っていた(?)元のラグラン・ジェイムズの身体に納まってしまったのでした!いやいや。びっくりです。
レスタト様は元に戻り、ディヴィッド・タルボットは新しく美しい肉体を手に入れめでたしめでたし・・・。と、最後にまたまたびっくり。レスタト様は若返った(?)ディヴィッドを無理矢理ヴァンパイアにしてしまうのでした。
なお、このストーリーの中にはモジョという大きな犬(寂しいレスタト様の側にいる)が出てきます。やっぱりフランス田舎貴族時代に狩りしてたので、ハンティングっぽいのでしょうか。また、ディヴィッド・タルボットが若かりし頃ジャングルで狩りをした(美少年の恋人と一緒だったとか)思い出なども書かれています。そうそう。ラグラン・ジェイムズの姿をしたレスタト様と関係した修道女グレッチェンはアフリカに戻ってしまいますが、後々元にもどったレスタト様に
「実はワシントンDCで貴女に助けて貰ったのは私です」なんて言うものだから、グレッチェンは気が変になってしまいます。あらら。一生神様に仕えればよかったのかもしれません。よりによって修道女がいんもーたる(不死者)といたしてしまったわけですから、それを知ったらヘンになるかもしれません。う〜む。