操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

目玉

以前、視野狭窄の疑いで脳のCTを撮ったことがある。今思うと、その時の写真をもらっておけばよかったと思うのだが、頭を縦に輪切りにしたもので、脳から二本、太い神経が出ていてそこに丸い目玉がついているのだ。それを見て『目玉って(そのCT写真はまさに『目玉』でした)ホントに脳に繋がってるんだなあ』と、納得した経験がある。先日聞いた話によると、脳が発達して外に向けて身体の外に出ちゃったのが眼球なのだそうだ。



(ここで奈良の大仏を思い出す。あれはパンチパーマではなく、仏様が賢すぎて脳が頭からはみ出ているお姿です、という話を中学の修学旅行の時に聞いた記憶があった。人間の内臓はその機能が進化してくると体外に出ようとするのだろうか?)



目は脳の出張所なのだ。脳が直接外界の情報を取得しない代わりに、情報を収集する器官である。REM睡眠(rapid eye movement:急速眼球運動)は、身体が眠っていて脳が起きていると言われるし、ノンREM睡眠は逆に脳が休んでいて、からだが起きている眠りである。また、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法。フランシーン・シャピロ博士がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療のために1989年に発表した心理療法)のように、眼球運動を意識的にコントロールしてPSTD治療に用いられている場合もある。眼を単に『見る』器官として考えるのではなく、脳と繋がっている、感受性と謎に満ちた器官として考えてもいいかな、と思ったりする。



私達は『目線』という言葉を操体の指導の中で使うことがある。『身体運動の法則』の自然体は『目は正面の一点に据え』という言葉が出てくる。

橋本先生の時代には『般若身経』には『目線』という言葉はでてこないが、前屈から起こす場合『顔から起こす』とたまに書いてあるヴァージョン(般若身経はいくつか改訂バージョンがあるのだ)もあり、これは多分『目から起こす』ことなのだろうと理解できる。

実際、目線をつけて上体を起こすと、スムースに起こすことができる。



『走るときは目から走れ』『何かアクションを起こす時は、目から。動きが後からついていくように動け』というのがコツらしい。



また、これは私からのアドバイスだが、操法を受ける時、特に足趾(そくし)の操法や、渦状波(カジョウハ)を受ける時には(勿論、動きのあるものでも構わないと思う)目を閉じていたほうがいい。

足趾(そくし)の操法というのは、『揺らす』『落とす』『揉む』その他いくつか種類がある。私はこれに加えて趾廻し(ゆびまわし)を加えているが、何れもきもちいいものだ。中には足の指を揉んで1分経たないうちにイビキが聞こえることもある。



ところが、たまに足趾の操法の最中にも目をしっかり開けている方がいらっしゃる。何とも不思議で『目は閉じていらして構いませんよ』と声をかけても目をぱっちり見開いている。目を開けていても私は足下にいるので私が何をやっているのかは見えない。もし、見ようとしているのだったらそれは無駄な抵抗(?)である。見たってわからないのだから。こういう時は目を閉じてリラックスして、極上の気持ちよさを味わっていただきたい。



★そういえば、美容院に行ってパーマをかけたりする時は、鏡の前でやるのでどんなものが巻かれて自分がどんな格好になっているのか分かるが、、分からないのがフェイシャルのエステとかまつ毛パーマである。まつ毛をカールするのが下手なので、もっぱらまつげパーマのお世話になるのだが、かけている小一時間というもの、目が開けられない。その前に、自分のまつ毛がどうされているのか見ることができないので、とても不思議な感覚だ(結構きもちいい)。先日エステテイシャンに聞いてみたら『結構笑えます』と言っていた。『私達は見慣れてますけど(笑)』

今度まつ毛パーマかけてもらったら、携帯で写真を撮って貰おう。