操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

日経ヘルス

日経ヘルスの最新号。



★別に怒っているのではありません。念のため。



またもや渡部先生の記事には「操体法」というのが載っている。



私が昨年から日経ヘルス誌の記事について書いているのは、一般誌で、コンビニでも売っているような部数の多い雑誌に、誤解を招くような操体法の記事を掲載して欲しくないからだ。



勿論、渡部先生の記事が100%間違っているとは言わないが、

ここに掲載されている「操体法」は、微妙に本筋を外れているということは分かっていただきたい。



また、現在の臨床操体は「痛い、痛くない」という運動分析から

「快適感覚(きもちよさ)がききわけられるかどうか」という感覚分析に移行しているということも知っていただきたいのだ。



以前編集の方からメールをいただいたが、渡部先生は野口整体を勉強して操体は茂貫雅嵩氏に習われたという(私は茂貫先生も存じ上げているが、このように操体を教授されたとは思えない)。

また、渡部先生は「特別操体に思い入れはないようです」というような事も書かれていた。



それなら、何故日経ヘルス誌の巻頭カラーで「操体ストレッチ」というのをやるのか。



操体、というものを掲載するのだったら、三浦先生や、今先生など専門家はいくらでもいるはずだ。



2006年6月号114ページ



上から2段目

「首を横回転させる、前後に倒す、この3方向に動かして「つらい」と思うところで止めます。手を顔に当てて手と頭で軽〜く押し合いをして脱力。その繰り返しです」



操体では「痛い方から痛くないほうへ」というやり方もあるが

「痛いというところでとめて抵抗をかけて脱力」というようなことはしない。



115ページ一段



「横になって首を左右にゴロンゴロンと回転させ、痛いところで止める。そこがスタート地点。上を向いたほお(ここえは左ほお)に手を乗せる





痛む方向と逆に向かってじわ〜っと、無理のない所まで首を回していく(イラストでは手前へ回している)5〜10秒呼吸



★これは114ページの記述とは逆ではないか。同じ首の操体法と書いてあるが、何故114ページではつらい」と思うところで止めます。手を顔に当てて手と頭で軽〜く押し合いをして脱力。その繰り返しです」



と書いてあるが、こちらでは「痛む方向と逆に向かって」と、書いてある。これは理論的な矛盾ではないか。



★★この矛盾点を説明して欲しい。



★何故、最初は「つらいほうで抵抗をかけて」いるのに、次は痛む方向とは逆に動かして抵抗をかけているのか。



吐く息と同時に首と手を脱力。顔の向きは正面に戻る。そのまま5〜10秒呼吸。ここまでを3回繰り返す



★「顔の向きは正面にもどる」

これは明らかに違う。脱力したら、脱力したままで、落ち着いたら正面に(もとに)戻る。



今度は痛む方に向かって同じようにじわ〜っと回し、5〜10秒呼吸。そのあとふわっと脱力して5〜10秒脱力



40年前の正体術と殆ど同じだった『操体法』(その頃はまだ操体という名称はなかった)の行程を示すと



1.対なる動きを比較対照する(動診)

2.痛い方から楽な方(痛くない方)に動かす

3.痛くない動きの可動極限で動きをたわめる

4.瞬間脱力

5.何度か繰り返す

6.痛かったほうに動かしてみて、先程との差をためす

(再動診)



ということになる。



多分、最後の「痛むほうにむかって」というのは「6」の再動診の名残を無理矢理操法にしてしまったか



「痛くない方をやったのだから、痛い方もやる」(左右均等にやる)という意図があるのかもしれないが、



操体では、

片方辛くて片方楽だったら

楽な方しかやらない。



両方辛かったら(不快だったら)両方やらない



片方楽で片方きもちよかったら

きもちいいほうをやる



両方きもちよかったら

両方やる



というように考える。



また、『呼吸』を5〜10秒という指導がなされているが、

これは渡部先生が操体を習ったという茂貫氏の『呼吸操体』を

思い出す。静かな呼吸でやっても構わないと思うが、

(これは「楽」を選択する操法か「快適感覚」を選択する操法とでは違ってくるので今回は割愛)



橋本先生がその昔、「呼気と共に瞬間急速脱力」とされていたのは、なかなか瞬間脱力できない患者が多く、瞬間的に抜かせるために、吸気をとめさせて、呼気と共に脱力させたのがもとだと聞いている。



また、橋本先生晩年「呼吸は自然呼吸でいい」

「呼吸に意識がいくと、感覚のききわけがしにくくなるから」と

言われていたということも書いておこう。