『「稼ぐ」ライターの仕事術』という本を読んでいたところ、面白い事が書いてあった。筆者吉田典史氏は書くだけではなく(これは、私達臨床家が『施術するだけではなく』ということにも当てはまると思う)、経験やノウハウを講師として売る、と書いてある。
これはよくわかる。
吉田氏はブログで大学生を相手に、フリーで論文添削をされていたそうだが、その時わかったのは
『寄せられたメール数百通すべて目を通して、確信したことがあります。教えられる側の98%は、「1+1=2」的な単純明快なロジックを欲しているのです。決してジャーナリズムとは。。なんて哲学的なことは求めていません。明快に、シンプルにまとめられ、読んだ直後からすぐに役立つ情報が重視されているのです。つまりは、徹底した「How-To」こそベストなのでしょう』
ということなのだそうだ。
これは傾向なのだろうが、上記の「決してジャーナリズムは。。」というところを「操体とは」と、置き換えても通じるだろう。
手技療法しかり、操体しかり、殆どは「1+1=2」的な明確な答えを求めているのだ。
しかし、そういう方程式通りの解を欲するということは、操体に対しても「症状疾患別」的対応を求めることになってしまう。
★それは良くない。
実際、何かを教える際にマニュアル化されているのは教えやすい。
●●には××操法とか△△には■□操法とか。あと、パターンが決まっているのもそうだ。これは、覚えればできるかというと、厳密にはそうではない。教室で受講生相手にするのと、実際の現場では雲泥の差があるのはよくある現実だ。
臨床は例外のほうが多い。。こういうときにマニュアル君にならないために、基礎をしっかり身につけて、応用力と観察力を磨くという『修行の時期』が絶対必要なはずだ。
勿論、優れたメソッドは数多くあるが(語学習得とか)、どちらかというとある程度時間をかけ、応用力を伸ばすものなのではないか??
こうして考えると、伝説のホテルマンと言われた、橋本保雄氏を思い出す。橋本保雄氏はその名の通り操体の創始者、橋本敬三医師のご三男である。山の上ホテルで修行、ホテルオークラ創立時から参画し、橋本敬三先生も著書の中で、「この息子、水商売が好き」と書いておられる。橋本さんは著書を沢山書かれているが、ホテルマンとしてのその機転の利かせ方と応用力のすごさは参考になる。
何が参考になるかというと、我々も実は『快適』というサービスを提供しているサービス従事者の一員なのだ。
★この場合、「クライアントの要求に応える」のではなく「(クライアントの)からだの要求に応える」のだが。。
話は戻るが、どうしたら応用力がつくのだろう。
やはり自分の得意なことから応用力を深めたほうが早いと思う。
例えば私は金融とか経済とかちんぷんかんぷんなので、応用せよと言われても応用しようがない(笑)
また、証券アナリストとか経済評論家になるわけではないので、「入門書」とか「一目でわかる」とかを読んで『読んだのでわかった気』になっていて、結局本当はわかっていない(財務諸表が読めるとかそういうことはとうていできない)のがオチである。
しかし、操体に関することや、人体、各種療法や思想哲学、オカルト(?)、文学、美容、心理学、英語、猫(?)にMac(Apple)はちょっとは引き出しがあるので、それなら少しずつ応用を利かせることができる。
そういうところからはじめてみてもいいか、と思う。
「一つの事柄の達人は万事に通ずる」(ぼそ)。