操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

第一分析、第二分析、第三分析、そして・・

前回の東京操体フォーラムで配布された、用語解説集から引用したいと思う。フォーラム理事、佐伯惟弘氏の原案によるものだ。



「きもちのよさをききわければいいんだ。きもちのよさで治るんだからな。」

(1983年)という操体の創始者橋本敬三医師の一言により愛弟子である三浦寛理事長が、従来の動診および操法をゼロから見直し、快適感覚に問いかけた動診操法を再構築。従来のやり方を第一分析とし、新たに再構築したものを第二分析と称し区別した。



<第一分析>対なる動きを二者択一的に比較対称させて楽か辛いかの運動感覚差を確認する分析法。その動診および操法の行程は、全てパターン化され操者のきめつけによるところが大きい。



<第二分析>動診に際して二者択一的に対なる動きの運動感覚差(楽か辛いか)を分析するのではなく、一つひとつの動きに快適感覚のききわけをとおしていく感覚分析法である。第二分析の特徴は、からだの要求感覚に従った動診、操法の問いかけである。このように、からだの要求感覚に委ね、一つひとつの動きの感覚を分析する動診法を三浦は仏法用語より『一極微(いちごくみ)』と称した。



<第三分析>(渦状波)からだが動きを八方に塞いでいる場合、さらに動診そのものがとおせない、また快適感覚のききわけができない患者が存在する。これらの被験者に対し、三浦は皮膚に注目し皮膚に快適感覚のききわけをとおす診断と操法を体系づけた。これを第三分析あるいは渦状波と称した。この第三分析は第一、第二分析とは全く異なる快適感覚のききわけができ、それによってからだは正体化する。三浦はこの第三分析により無意識の快の存在こそ生命感覚としての快の本質であると理解した。




★このように、操体の分析法を3つに分けている。

第一分析というのは、いわゆる、橋本敬三医師が現役時代にされていた、正体術の色が濃く残る時代のものである。残念ながら、未だに第一分析をされており、第一分析だけでは

間に合わず、他の療法をされている操体法実践者の話も聞く。第二分析は「快適感覚」をききわけ、味わうという、「感覚分析」時代の分析法(動診)である。第一分析の「どちらが楽ですか、辛いですか」という言葉だけを「どちらがきもちいいですか」と変えて使っているケースも数多く見られるが、二者択一の問いかけをしたのでは、「快適感覚」という言葉を使うメリットがない。第二分析では「この動きに、きもちのよさがききわけられますか?」というように問いかけるべきなのである。

第三分析は、最近クローズアップされている「皮膚」へのアプローチ。とはいっても、これは単に触れればいいわけではなく、刺激にならないように、最小エネルギーで最大効果をもたらすようにするのである。こすったり、押したり、つまんだり、ねじったりするのとは違う。皮膚を動かすにせよ、「あそび」の範囲でそっと行うのである。



このように考えてみても、第一分析しか知らない(あるいは知ろうとしない)というのは本当に勿体ない話である。

特に臨床家だったら尚更だ。



快適感覚をききわけさせるための分析法は全部で8つある、と言ったら驚くだろうか?



この場合、第一分析は、「快適感覚のききわけ」ではなく、「楽」という、運動感覚差のききわけであるから

除外する。

この他に8つある、ということなのだ。引き出しがひとつしかないのと、8つあるのとでは、どちらが有利なのか、勿論、おわかりいただけると思うが、これを知らないのは本当に勿体ないとしか言いようがない。