操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体によるからだの手入れ(セルフケア)について

当方では、「施術」と「セルフメンテナンス」は区別している。

数年前まで結構多かったのが『操体を受ければ自分でもできますか?』という質問だった。



また、『自力自療』という言葉や『一人操体』という言葉、『一人操体』(橋本敬三医師は『一人操体』や『二人操体』という言葉は使われていなかった。一人でやるから一人操体、二人でやるから二人操体という言葉は本来存在しない。神戸の中川氏の本のタイトルから来たものだと思うが、何度も書いているように、その人にしかわからない快適感覚をききわけ(診断)、味わう(治療)のが操体の行程であるから、自宅で一人でやろうが、操者から受けようが、カルチャースクールやスポーツクラブで指導者が口頭で指導しようが、皆「自力自療」なのである。

(ちなみに、一人で行うものを『自力自動』という)





操体を受ければ自分でもできますか?という問いであるが、」(効果を出したいのであれば)「受けただけではなく、からだで『目的のあるある動きを設定し、それに従って目線あるいは呼吸を用いながら、末端から全身へとゆっくり動いてよく感覚をききわける』勉強をして、『快適感覚をききわけ、味わう』という行程を学ぶ必要があります。



単に動いただけでは、操体ではありません。感覚のききわけがなけれは単なる体操です。悪いとはいいませんが、目的と行程が全く違うので、見かけは同じでも結果が全く違います。



これこれこのように動けばいい、というものではありません。

また、操体を「動き」だけで捉えては結果が出ません。





★以下は、あるクライアントからの質問への回答★



> 自宅ではどのようなケアをすればよろしいでしょうか?



からだには8つの動きがあります。

腰でしたら、前屈、後屈、左右側屈、左右捻転です。(牽引と圧迫は基本的に自力ではできないのでこの6つとします)これを体系化したもので『般若身経』というものがあります。



操体指導者でも、これを軽視しているところがありますが、日々のケアでしたらこれでも間に合います。何故ならこれは『からだの使い方の基本(スタンダード)』であり、『診断法』であり『治療法』であるからです。この指導を行っているのが当方の操体法ベーシック講習です。



ただ動いただけでは、単なる『体操』となってしまいます。感覚のききわけが大切です。



> 前回、診断と治療を区別しなければならないと教えていただきま>したが、自分で心地よいところを見つけて脱力すると言うのは

>いけないのでしょうか?



自分で心地よいところを見つけて脱力する、という行為を考えてみます。

まず、「ここちよいところを見つけて」ではなく『動いてみて、ここちよさがあるのかないのか、確認する」ことです。ここちよいところがない場合もあるからです。



更に、動いてみて、本当にここちよさ、きもちよさをききわけ(診断)それを味わって(治療)いると、意識的に脱力はできません。



文面からみると、『脱力した後のきもちよさ、心地よさ』をさしておられるようなニュアンスを感じます。



筋肉を緊張させて、瞬間的に抜いた場合のきもちよさがメインの操体のきもちよさなのではありません。

動診(診断:動いてみて快適感覚があるのかないのかからだにききわける)行程でききわけるのであり、ききわけられたらそれを味わう(治療)のが操体で言うきもちよさです。



脱力後の爽快感も勿論あれば味わっていただきますが、動診の過程での「きもちよさ」がメインです。



> 「心地よければどんな動作でもよい」と言う考えは、間違いでしょうか?



そういう方もいらっしゃいます。しかし、操体を「動き」だけで考えるのは早急です。

橋本敬三先生も『動きより、感覚重視の勉強をしなさい』と言われています(ここで、SMとか快楽殺人とかの話を出す極端な人もいますが、この二つは個人の趣向も含むため、ここでは触れません)

他者に迷惑をかけたり、度を超してやりすぎて、次の日に疲れを残したりするようなものは好ましい「きもちよさ」ではないと考えます。



間違いとは言いませんが『からだにききわけて』という基本を守ればいいと思います。



しかし、最初慣れていないと、回数を沢山やればいいとか、きもちよさを探して色々動くとか、頭の損得勘定(それまでの経験や生活状況や、情報知識)でやってしまうため、「からだにききわけて」

ということができません。なので、ちゃんと分かっている指導者のもとで、基礎を学んでからやったほうが、いいですよ、と言っているわけなのです。



もし、ご参考にされるのでしたら、操体法の治療と予防 に、数多くの自力自動の操体法が紹介されています。