操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

銀座ママ麗子。操体法東京研究会はブランド?

銀座ママ麗子のマーケティング事件簿 (宝島社新書)

銀座ママ麗子のマーケティング事件簿 (宝島社新書)


昨日書店で何気に手にとって買った本。調べてみたら『銀座ママ麗子』シリーズは何冊も出ているようだ。これはある化粧品会社の商品の売れ行きが不調で、それを広告代理店の若手が頭をひねりながら、銀座のママ、麗子(元外資コンサルタントらしい??)の導きによって問題を解決していくストーリーである。
・相手のことを考える
・相手に近づく
・相手と話す
・相手の望みを予測する
・相手への愛を実感する
・相手に愛を伝える

マーケティング操体も何だか似てるなあ、と思った次第。
「仮説構築」というところで「一番多い意見をそのまま聞いちゃダメなんだよ。女の子を口説く時と一緒だよ。相手の子が言ってることをそのままやってあげるだけじゃ、モテないだろ。モテるやつは相手の子が言ってることから相手が本当に望んでいることを推理して、それを先回りしてやってあげるんだ。だから、サプライズがある」

私も読んだことがあるし、勉強したことがあるが、『マーケティングの4P』というのがある。プロダクト(商品)、プレイス(流通)、プライス(価格)、プロモーション(販売促進)』の4つだ。しかしこれは今から40年以上前のアメリカで提唱されたもので、いささか古いのだそうだ。
最近は、パッション(情熱)、パーソナル(個人)、パーミッション(許可)、プロミス(約束)の4つ。情熱と個人、というのは分かりやすいが、パーミッションというのは、個人情報に接する許可を指すのだという。確かに飛び込み宣伝などは減ってきたが、その代わり『あなたに接触してもいいですか?』という許可を得てから接すること、最後のプロミス、は『ブランド戦略』ということ。ブランドというのは、約束を守り続ける存在であって、それによって顧客との信頼関係を築いている存在だ。一度決めたコンセプトを守り続けることがブランドを確立することの基本条件であり、変化の激しい世の中で、ポジションを確立すること(変化しないことは難しい)、だからブランドなのだ。

ここまで来て、私は東京操体フォーラム操体法東京研究会について考えてみた。パッションは勿論ある。師匠三浦寛先生は、操体法創始者橋本敬三先生の意思を継ぎ『自然法則の応用貢献』にかける情熱と、後進の指導にかける情熱は誰より深い。
パーソナル。操体法操体は非常にパーソナルなものである。何故なら『本人にしかわからない感覚を分析し、味わう』ものだからだ。
操体を技術やテクニックとしてとらえると、『感覚分析』というところが抜けてしまう。また、技法、テクニックとすると、教える方はパターンを教えればいいのでそれだけだが、習った方は予想外に多く起こる『例外』に対すると何もできなくなってしまう。

パーミッション。個人情報保護は最近の最大の課題であるが、我々には勿論クライアントの守秘義務がある。また必要があって受けに、あるいは受講にこられるわけだから、これも操体にとっては当たり前なおかつ重要事項だ。

最後の「プロミス」(ブランド戦略)。これがポイントかもしれない。東京操体フォーラム操体法東京研究会ブランディングするのだったら、『操体臨床の専門家の集まり』であり、『操体法創始者橋本敬三医師の直系』ということだろう。勿論、操体法東京研究会の講習は毎週一回九ヶ月、または月二回一年という長い時間がかかる。最近は何でも手軽に簡単にできるようになる、魔法のようなメソッドを求める節があるし、一年も学ぶという学習体系には尻込みする傾向があるかもしれない。
しかし、基礎訓練が大事なのは事実である。その結果、操体法東京研究会は数多くの操体法指導者をこの世に出してきた。それは、一年、あるいは複数年(書籍を出版しており、操体を専門にされている先生方は、複数年学ばれているケースがほとんどである)しっかり学んだという証でもある。
プロミス(約束)と言えば、ブランドが変化しない、ということを書いた。そうすると、40〜30年前に橋本敬三医師が『楽ときもちよさは違う』と言われる前にされていた『楽なほうに動かして、瞬間急速脱力』でいいじゃないか、という意見もあるかもしれない。
しかし、厳密に言うと現在『楽なほうに動かして、瞬間急速脱力』をやっている操体専門家は少ないと思う。何故かというと、1990年代後半からの『きもちよさをききわけ、味わう』という言葉の登場により、操体界にも『楽じゃなくてきもちよさだ』という風潮が生まれた。しかし、言葉だけ「きもちよく」になっている(つまり、理解しないままに使っているケースが多いのではないか。

それが、私がいつも指摘している
・楽と気持ちよさを混同し、動診と操法の行程を理解していない
・どちらがきもちいいですか、と気持ちよさの比較対照をしている(感覚分析は比較対照しにくい)
・きもちよさを探して色々動いてしまう(きもちよさの比較対照をすると、どうしても探して色々動いてしまう)
問題点である。

先の全国大会に行った時も、長年操体をやっている(と、お見受けする)先生方でも混同しているように思える。ちなみに、これを指摘したりすると『小難しい事を言うな』とか『そんなのどっちでもいいじゃないか』と言われるのは、操体の専門家と名乗っていながら『私は操体専門じゃないから』と、逃げをつくる方々である。

話がちょっとずれたが、橋本敬三先生は『完成された体系ではない。若い人に任せる』と言われた。
そして、その「若い人」達は橋本敬三先生から『楽ときもちよさは違う』『動きより感覚の勉強をしなさい』『呼吸は自然呼吸でいい。呼吸を意識しすぎると、感覚のききわけが鈍るから』という言葉をはっきり受け取っており、それを追求した。それが「快適感覚にゆだねた、動診と操法(快適感覚を、ききわけ、味わう)ということだ。それを軸にしているのが、操体法東京研究会であり、東京操体フォーラムである。この「若い人達」というのは、三浦先生であり、今先生である。それを継いでいるのが、我々東京操体フォーラム実行委員ということになる。つまり、橋本敬三先生の直系の孫弟子だ(書いていてちょっとどきどきした)。

つまり、橋本敬三先生の側で橋本哲学を身をもって学び意思を継ぎ、操体哲学の中心軸をしっかり守りながら、なおかつ操体臨床の最前線を走っているブランドなのである。東京操体フォーラムとは、なかなか正体を掴みにくい「操体」というものの実体とその最進化形とその真の実力を紹介できる舞台であり、ブランドなのではないか?

自然法則の応用貢献」という使命を持つ。。

さらに、我々も「橋本敬三先生の直系の孫弟子」という誇りがあるから、操体の名前を汚すようなことはできないし、日々精進して勉強、臨床に励んでいるのである。何だか手前味噌のようで申し訳ないが、もしも貴方が操体に興味を持ち、学びたいと真剣に思うのだったら、是非お越しいただきたいと思う。