操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

えこひいきされる技術

『上質な脳みそに裏打ちされた"えこひいき"は必ず上質な文化を生み出す』

えこひいきされる技術 (講談社プラスアルファ新書)

えこひいきされる技術 (講談社プラスアルファ新書)

乗り移り人生相談」の島地勝彦氏の新著である。日経アソシエのサイトに連載されているものだが、私は操体関係の同志達にも『読め』と、勧めている。島地氏の「甘い生活」も『読め』と、勧めているが、ある時同門のY君に貸したところ『このヒト、何を書きたいんですかねぇ』『女にモテたいんですかねぇ』という返事が返ってきた。私自身も何故「乗り移り人生相談」が面白いのか分からなかったのだが、今回この本のタイトルを見て気がついた。おそらく、私は島地氏いうところの『上質な脳みそに裏打ちされた"えこひいき"』に惹かれたのである。

この中に出てくる方々を書いてみると、塩野七生さん、柴田錬三郎さん、今東光和尚、開高健さん、福原義春さん(福原さんだけは、『連塾』とかNHK松岡正剛さんとの対談生収録、関係パーティなどでお見かけしたことあり)などで、要は如何にしてシマジさんが「上質なのうみそに裏打ちされた"えこひいき"」に恵まれていたかということが、ここちよく書かれているのである。
「手紙」(シマジさんはこれを『紙爆弾』と呼ぶ)と「じかあたり」(直接アタック)は、チャンスがあったら試すべきだ。


師匠(三浦寛先生)から聞くところによると、橋本敬三先生はめんこがり(可愛がり)っぷりが徹底していたそうである。橋本先生は何かの用事があって東京にいらっしゃる時はホテルオークラに宿泊された。ご子息の橋本保雄氏がオークラに勤められていたこともあるが、遠藤周作氏と対談したのもオークラの和室である。
橋本先生がオークラに泊まっていると、東京のファン??が訪れてくる。そういうファン?が何人も部屋の中にいる時、いきなり三浦先生を呼び、「めんこいから小遣いやる」と、ファンの目の前で突然お小遣いをくれたりするのだそうだ。
勿論、中にはそういう場面を見て「なんであいつばかりめんこがる」と、嫉妬する輩も出たと思う。まあ、操体を長年やっている方々の中には、未だにそういう嫉妬を持っておられるケースもある(私の目から見てである)。思うに、公然とめんこがることは、その逆、つまり嫉妬も受けるわけで、橋本先生は何かを伝えたかったのかもしれない。ちなみに、師匠は「上質なえこひいき」をされる体質ではないかと思う。橋本敬三先生に18歳の時お会いしていること自体、「上質なえこひいき」ではないだろうか。

また、島地氏は文章の中にぽつん、ぽつん、と「謦咳」(けいがい:尊敬する人に直接話を聞く。お目にかかる)など、なかなか難しい単語が出てくる。それを調べるのも楽しい。

甘い生活」と一緒に読むべし。

甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者

甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者