操体法大辞典

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操体と健康運動指導士(健康運動指導士受験の記録)

私が健康運動指導士を受けてみようと思ったのは単純な理由だ。

スポーツプログラマの資格を持っていると、本来は120単位の受講が40単位に免除されるからだった。まあ、そんなものである。

私がスポーツプログラマーを受験した当時は、文部科学大臣認定の公認資格だった。公認資格というのは国家資格に準ずる。しかし今は文部科学大臣認定の公認資格ではなくなってしまった。しか〜し、私が取った時は「文科大臣認定公認」だったので、それでいいのである(笑)。

そして、数年前まで「健康運動指導士」というのは、取得が非常に難しかったのである。何故難しかったかというと、法律の問題で、温泉施設などには健康運動指導士を置かなければならなかったので、大手のフィットネスジムなどが企業をあげて受験させたりしたため、受験者数が多く、受験すること自体が難しかったらしいのだ。しかし、法律が変わり、温泉施設には健康運動指導士かそれに準ずる者を置く、に変わったので、温泉施設での需要が減ったのである。

しかし、それでは健康運動指導士の需要が減ってしまうが、メタボ検診と特定保健指導が導入されたことによって、健康運動指導士の需要が増えた。そして、協会のほうでも受験人数を増やして受けやすくしたのである。

とにかく、健康運動指導士が必要だ、ということで、期間限定で公のスポーツ関連施設に5年以上の勤務経験があれば、24単位で受験できるという特例措置がとられている。



8月に受講を申し込んだところ、9月に分厚いテキストが3冊送られてきた。上下テキストと、もう一冊は40単位(44単位)用のテキストである。もの凄く重い。私はこれを持ち歩いている期間、少し肩を痛めた。それくらい重いのである。



講習は、12月のクリスマス前とお正月明けに参加した。朝9時から夕方18時半まで、みっちり講義である。講義内容は心臓疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満対策など、メタボリック・シンドロームに対応したものだったが、興味ある分野なので、楽しく勉強できた。

ちなみに、この手の講習に参加すると、隣に座った人達と仲良しになり、やたらうるさいのがいる。別に仲良しになるのは一向に構わないのだが、ここは勉強するところなんだから、静かにしてくれと思いながらノートをまとめたりしていた。私はこういうところに来ても割と孤独を楽しみながら勉強するというヤツなのだ(笑)。というのは、以前スポーツプログラマの講習に参加した時、名簿を見た知らない人から、講義中にいきなり「転んで手を打ったんだけど」と手を出されたのである。その人は「整形外科関係の人でしょ(違います)。治してくれない?」と言ってきたことがある。



操体に限らず、手技療法関連の仕事をしている方ならお分かりだとおもうが、自分の職業を明かすと、面倒臭いのである。また、操体といっても知らない人のほうが多いので、

「それって整体?」とか「マッサージ?」とか、指圧のアクションをされるとか、または色々な質問にいちいち答えるのが面倒なのである。なので黙っていることが多いのだ(すいません)。



それだったら、HPなり本なりを読んで、操体というものを理解していただいてから来院していただくほうが、お互いの時間の節約にもなる。

また、これは私のポリシーなのだが、友人などでも「ちょっとやって」とか「最近肩が凝るのよね」というのは、お断りすることにしている。ちょっとやった位では解決しないし、こちらはプロなのである。ちゃんと予約を取っていただいて、来て戴ければばっちりサービスするのだが、「ちょっとやった」だけでは効果は期待できないし、『ちょっとやってもらったけど、よくわかんなかったワ』とか言われちゃうのはイヤなのである。



言い訳が長くなったが、そんな感じで、私は極めて静かに孤独に勉強していた。テキストは何度か読み、免除された80単位の勉強もしなければならない。免除分はスポーツプログラマーの時に勉強したと言っても、10年近く前の話で、復習する必要があった。まあ、解剖学的な事(筋骨格系)は普段から接しているので難はなかったが、普段あまり接しない栄養学の見慣れない単語はなかなか頭にはいってこなかった。また、健康運動指導士というのは、健康でスポーツが大好きな人に運動を指導するのではなく、「運動が苦手で嫌いな人に如何にして運動を勧めるか」というのが根本的に違うのである。



私はここが大きな問題点だと思っている。元気でスポーツが好きな人に運動を勧めるのは、そんなに難しい事ではない。しかし、心臓病、高血圧、肥満、糖尿病、高脂血症など、リスクを抱える人(大抵は運動とは縁がないのでは)に対しての指導である。今回はこのような状況において、如何に運動指導をするかというソーシャル・マーケティングの講義もあった。この辺りは操体を指導するにあたっても役に立つと思う。



1月の講義が終わって、2月の半ばに試験対策模試が行われた。希望者の参加だが、私は勿論参加である。

12000円かかるが、私は東京在住だし、模試の場所は東陽町、うちの近所だ。また、実を言うと私は裏のお姉さんが行っていた私立の附属中学を試しに受けたら受かってしまったという運の良さ?で、受験勉強とか予備校の経験がなかった。予備校的な授業というものにも興味があったのである。つまり「如何に効率よく勉強するか」という試験対策型の学びというのを受けてみたいとも思ったのだ。



初日の朝、模擬試験が配られた。見た途端、私は「ダメだこりゃ」と思った。最初、素のままで解いてみたところ、全75問中(時間も通常の試験の半分だったのだが)10問くらいしか解けなかったと思う。ひどいものだ(笑)。

模試が終わって、休憩時間になると、周囲では「ダメだよね〜」とか「難しかった〜」などという悲痛な声が聞こえていたが、私は『そういう言葉は使わない』『言葉は運命のハンドル』とばかりに、ここでも一人静かに勉強していた。

教科書はまんべんなく読んだが、問題自体が非常に難しい。どう難しいかと言うと、4つ設問があって、「間違っている組み合わせを選べ」と「正しい組み合わせを選べ」という2種類ある。あわてたりすると、この選択を間違えてしまう。なので、最初は間違っている組み合わせを選ぶのかそれとも正しい組み合わせを選ぶのかをチェックすることにした。



★模試の内容は結構難しかったと思う。



模試の解答が配布されたが、これはあとでゆっくり読むことにして、対策講義に没頭した。これは、前回の試験を優秀な成績でパスした受験生(大学の助手とか、会社の社長とか、講師をされている方が多い)が、講師となってポイントやコツを講義してくれるのである。最初の先生は「テキスト、ばらしました?テキストはばらすといいですよ」と言った。私はばらしていなかったので、帰宅してからテキストをバラして、カッターでノリの部分を切り落とし、SnapScanでスキャンしてPDFにした。そしてスキャンしたものを、ホチキスで留め、製本テープを貼って小冊子にした。PDFにしておけば、パソコンでも見ることができる。



それから、模試の冊子をコピーし、間違っているところを全て「正しいこと」に書き直した。なぜそうなのか、紙の端に解説を書いた。なるべく沢山書けるように、ペンは極細のカラーペンを用意した。模試の問題は模試の問題で、いつでもチェックできるようにしたのだ。



もう一方、教科書をまとめに入った。全部まとめるのではなく「大人」の流儀でまとめるのである。ノートは丸善で「コーネル大学考案ノート」を買ってきてそれにまとめた。色はカラフルにして、図表は縮小コピーを多用した。教科書の中には重複するところもでてくるので、それをまとめてゆくと、テキストの量が減る。減るので、気持ち的に少し気が楽になる。一週間前までに全部ノートにまとめ、後は教科書ではなく、ノートを見ることにした。



つまり、教科書のまとめと、模試の確認という二本柱で進めたのだ。教科書のまとめといっても、全部をまとめるのではなく、「これは必須だろう」というところからまとめてゆき、結局は分厚い教科書はノート2冊におさまった。後はこのノートで復習するしかない。模試に関しては、「正解」を頭に入れることにしてやはり小出しに復習した。



試験は天気のいい日曜に開催された。配られた試験問題を開いた私は「おっと!」と思った。というのは、模試は全て2択の組み合わせだったが、4つの設問の中から正解を選ぶものがあったからだ。どちからかと言えば、模試の内容というよりは、教科書のまとめと、それ以外の「専門的一般常識」というか、教科書の中でも重複して記載されているところとか、確実に知識として習得しておかないとならないものが出たような気がする。

試験は75題、60点で45問以上正解すれば合格だ(笑)これは、確実に点が取れるものからつぶして行くしかないと、確実なものから攻めていった。そして、「正しいものを選べ」と「間違っているものを選べ」が、入れ違っていないかチェックした。



というわけで、一応解答を終え、『50問はカタい』ところで、終わりにした。50問カタいから多分大丈夫だろうと思っていた(が、通知が来るまでの間は結構イヤなものだ)。

20日経って、家に大きな封筒が届いた。『登録用紙在中』と表に書いてあった。模試や講習期間、操体法東京研究会の講習を休んだりしたり、また応援?して下さった師匠に合格を報告した。そして早速登録料を振り込んだ。

それから一ヶ月半、大きな荷物が届いた。A3(多分)サイズの大きな賞状ホルダーに認定証、顔写真入り登録証が届いたのだった。



今回勉強のヒントにしたのは











勉強法を勉強するということ。