操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

自分が一番大好き。

何故、操体を学ぶのか、自分に問いかけてみる。私の場合は単純で『操体法治療室』の後半、師匠の担当のところを読んで感銘を受けたからである。それで熱心に操体を学んだ。少し遠回りになったが、師匠のところで学び続けている。幸いなことに『操体法治療室』の著者の二人の大先輩と一緒に共著を書くこともできた。



そのエピソードは、不整脈の発作を抱えている患者の話である。原因不明の発作がたまに起きる。ある日、師匠がこの患者に『この世で一番愛している人は誰ですか』という問いかけるのだが、患者は『娘です』と答える。しかし師匠は『うそでしょう』と言う。患者はびっくりする。そして師匠は『自分を一番愛してるのは自分じゃないですか』『自分自身を愛せなくてどうして人が愛せるんですか』と言い放つのである。私は実は自分が大好きである。

自分が大好き、というと日本人は『えっ?』という顔をする場合が多い。

それまで、私の周囲では『自分を一番愛しているのは自分だ』ということをここまではっきり書いている人はいなかったのである。社会的にみても『個人』という概念が生まれたのは比較的近代で、そうでなくとも日本人は結構最近まで滅私奉公、自分を滅して公に奉ずることが美徳とされてきた。多分『自分が一番好きだ』という人間は、わがままとか言われたのである。ちなみに、自分が一番好きなのと、自己中というのは少し違う。自己中というのは、人が自分に振り回されるのを見るのが楽しいのである。ちなみに、「自分が可愛い」と「自分が大好き」はちょっとニュアンスが違うと思っている。



私は自分が好きなので(笑)、自分が一番好きなのは自分だよなぁ、と長らく思っていた。このことを非難されたこともある(笑)。しかし『自分を一番愛してるのは自分だ』と、ここまではっきり書いてくれた本はなかったのである。その後の『快からのメッセージ』でも『幸せは自己犠牲の上には成り立たない』と書いてある。