操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

フォローの達人

この本は、レストランはじめ接客業、サービス業、営業の方向けに書かれているが、我々のような操体の専門家にとってもヒントになることが書かれている。

例えば、
「お客様が求めているのは解説ではなく、解決」
「言いにくいことを恐れない」
「フォローの辛さを知る」
「キャンセルにムッとするのは、旧ソ連的リアクション」

フォローとは、たえまない品種改良の努力です。
ロシア人が食べるジャガイモは、ほとんどがドイツ産のジャガイモです。
なぜロシア人がロシアで作ったジャガイモを食べないのでしょうか。
理由は歴然です。ロシア産のジャガイモより、ドイツ産のジャガイモのほうがはるかにおいしいからです。
ドイツはひたすらジャガイモの品種改良をしてきました。
今、日本人が食べている野菜や果物は、すべて品種改良されたものです。
昔のリンゴは酸っぱかったのですが、今のリンゴは甘いです。
リンゴはひたすら品種改良しているのです。
リンゴや果物だけでなく、お米もそうです。
ロシアは殆ど品種改良をしてこなかったのです。
ロシアがかつで共産主義で、統制経済だったころは、農家で作った作物は、黙っていても国が買い上げていました。
おいしい・おいしくないは関係なく、重要なのは生産量でした。ですから、品種改良はエネルギーのムダでした。
おいしいジャガイモを高く買ってくれるわけではないのです。衰退する業界は、品種改良を一切してこなかった業界です。
今やらなければいけないことは、フォローの品種改良です。
あなたはフォローの品種改良をどれだけやっているでしょうか。
農家や試験場では必死に農産物の品種改良をやっています、
私は撮影で、長野県の作物の品種改良をやっているところに行きました。
サクランボ、桃、リンゴなど、品種改良をしたものはやはりおいしい。
農産物ですら品種改良しなければ買ってもらえません。
日本のお米がおいしいのは、必死に品種改良をやってきたからです。
外来米はおいしくないと言いますが、今はカリフォルニアでもコシヒカリササニシキをつくっています。
ふだん使っている身のまわりのものは、すべて品種改良されたものなのです。

操体にも品種改良が必要だ。
かといって、何か全く反対のモノと組み合わせると、操体ではなくなってしまう。操体は森羅万象に通じるのだが、捉え方を間違えるととんでもないものになる。
ちなみに、私は野口整体はすごいと思っているが、操体をやっている身なので、敬意をもってやらないことにしている。橋本敬三先生にも、野口晴哉先生にも申し訳ないからだ。

酸っぱいリンゴが品種改良の結果、甘くなってもリンゴには変わりないように、進化・深化しても操体操体だし、深化と進化は絶対必要になってくる。

万病を治せる妙療法―操体法 (健康双書ワイド版)

万病を治せる妙療法―操体法 (健康双書ワイド版)


「万病を治せる妙療法」は、『現代農業』という雑誌に連載されていたものをまとめたものだ。橋本先生曰く「農業高校を出た人などにも分かりやすく、健康の事をかいてくれないか」という依頼だったそうだ。
40年以上前の農家と言えば、圧倒的に肉体的なトラブル「動」によるものが多かったのではないかと思われる。ところが、現在はどの手技療法家も、「心」の問題が一番多い、と言う。もしかしたら、心の問題が増えたのではなく、明らかになってきたのかもしれないが、人間の生活空間やストレスの種類が変わってきたのは間違いない事実である。
それに応じて、操体が洗練されてくるのは当然ではないだろうか。


「なぜ来ないのか」ではなく「なぜ来るのか」を考える

宣伝や口コミで、お店に初めてのお客様が来て下さいます。ところが、2回目は来てもらえません。
スタッフは頑張っているし、とくに悪いことをしたつもりもありません。
1回来たお客様に2回目も来てもらえるかどうかで、大きく分かれるのです。1回目が2回目になるところが、リピーターのスタートラインです。広告でできるところは、1回目に来るところまでです。
ですから、1回来たお客様が2回目に来ないのは、広告が悪いのではなく、お店やスタッフの責任です。
2回目に来てくれない理由は
(1)来たくない理由を作ってしまった
(2)もう1回来たくなる理由をつくらなかった
という2通りがあります。ここでは、「なぜ来ないのか」ではなく「なぜ来るのか」という発想をしなければなりません。ほうっておいたら、お客様は来ないのです。来ない理由はたくさんあります。
技術には自信があっても、その技術がお客様に伝わらなかったのです。「技術なら絶対に負けません」と言っている人ほど、人間不信になります。
「こんなに一生懸命やっているのに、あのお客様はこんな素晴らしい技術がわからないなんて」と、思うのです。
どんなにいい技術を持っていても、それを伝えられなければゼロです。
たとえば、1回目のお客様が100人来ました。そのあと2回目に来るお客様は1人しかいませんでした。のこりの99人が同じ理由で来なくなったわけではありません。1人1人に違う理由があります。
それを1つ1つつぶしていけば、1人、また1人と2回目へつなげられるはずです。
「1つやれば100人のお客様が全員来る方法を教えて下さい」という発想をしてはいけません。
そんなことはムリです。1人づつ次へ運ばなければならないのです。

これも興味深かった。我々にしても、2回目(再診)にきていただけるかどうかというのは非常に気になるところだし、開業してすぐは、ご祝儀混雑の場合もあるし、操体の場合「まぐれ」で治ったということもよくあるのだ。