操体法大辞典

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奇跡力。ヘレン・ケラーは奇跡の人ではない

奇跡力

奇跡力

中学か高校の頃、文庫本でキリスト教系の奇跡を紹介した本を持っていた。家の本棚にまだあるかもしれない。最近では「ファティマの奇跡」や「ルルドの泉」について書かれており、非常に興味を持って読んだのを覚えている。

さて、この本は宗教的奇跡の本ではない。著者の井上裕之氏は歯科医であり、セラピストでもあり、経営コンサルタントでもある。何が奇跡かというと、10年前奥様が交通事故で植物人間になり、その後奇跡的に意識を取り戻し、普通に歩き、人間らしい日常生活を取り戻すまでに回復したという体験をしているのである。
その後、井上氏は意識的に奇跡を起こした人を調べたり、人に話を聞くようになった。そして、自らの体験と照らし合わせながらそこに法則のようなものを見出すことはできないかと検証するようになったのだそうだ。

そして、奇跡としか思えないことを達成する人には、3つの共通点があるという。

  • 一つは、自分を強く信じて疑わない心を持っている
  • もう一つは、成し遂げたいことを明確にしている
  • 最後に、夢や目標を達成するために、戦術を考え、実行に移し、それを積み重ねている

勿論この下にも様々な要素が関わってくるのだが、基本的にはこの3つなのだ。

ヘレン・ケラーは奇跡の人ではない」という目次を見て、「え?違うの?」と思う方は多いのではないだろうか。実は「奇跡の人」というのは"the Miracle Worker"というタイトルで、ヘレンの先生、アニー・サリバン女史を指す。

奇跡を起こすためのプロセス

  1. 目的の明確化
  2. 必要な知識、技術の習得
  3. 実践と実行
  4. 協力者との出会い
  5. 障壁の崩壊

盲聾者であるヘレンを一人前の大人にし、更には障害者教育の専門家として世に送り出すサリバン女史と、ヘレンの成長には、このプロセスが当てはまってくるのである。

世の中には「奇跡を起こす方法」の本や情報は出回っている。むしろ出尽くしたと言ってもいいかもしれない。しかし、それを実際にやってみる人は少ないのである。

目的の明確化、それがまず最初のステップだ。
私の目的は、操体指導者の育成、後の世に操体をしっかり残すこと、日本が世界に対してできるのは健康輸出だ、と言われた橋本先生の意志を伝えることだ。

ちなみに、私はコネも何もなしで、Duran Duran(最盛期の頃ね)の武道館のコンサートのアリーナの最前列の席を取ったことがある。あの時は奇跡が起きるくらい熱意があった。私が「思えば叶う」と、素直に思えるのは、そういう小さな成功体験のお陰かもしれない。

なお、題字は武田双雲氏による。