操体法大辞典

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口惜しいと思ったことがあるか

先日、東京操体フォーラム実行委員の勉強会で、師匠が「今までに口惜しいと思ったことがあるか」という問いを投げかけた。メンバー全員が「ある」と答えた。師匠は「わからないということが一番口惜しい」と言われた。

私は「非常に男性らしい思考だな」と思った。その後「私はわからないことは別に口惜しいとは思いません。知ろうとする努力をするとか、全部分からなくてもいいと思うから」と言ったところ、師匠はどうも納得がいかないようだった。
「わからないことが口惜しい」という感覚は「男性脳」のなせるワザなのだ。男脳は「考える」からだろう。ある人は「わからないことがストレスになる」と言っていたが、そんなにわかってどうするんだろうと思う事もある。

また、知っていてもこだわらないのがスマートではないだろうか。

ところで私が「口惜しい」と思うのは、わからないことよりも「できないこと」である。でも「できないこと」も繰り返し練習すれば「ある日できるの法則」あるいは「Fコードの法則」(ギターのFコードは最初は音が出ないが、ある日突然音がでるようになる)により、できるようになることを知っているからだ。

私が今までに口惜しいと思ったのは、名前を思い出したが、村瀬大翼氏という「太極拳を学ぶ会」を主宰している在家の坊さんの言葉である。
操体は難しいから女には無理だ」
これは、私が操体を学び始めた時、その報告をした際の氏の言葉である。この言葉が私を駆り立てたのかもしれない。
もう一つは、三浦先生がある女性(年上で操体関係者)に私を紹介して下さった際。「貞山の院長だよ」という言葉に、その女性は「あなたが院長?」(表情からこのオンナが治療院の院長?というのがありあり)と言った時である。私はプロとして講習指導もしていたし、既に本も出していた。私が年下で頼りなげ(爆)に見えたのだろうが、結構憤慨したのも事実である(まあ、10数年前のことだけど)。その人は操体のプロではなく「愛好家」だったので、多分操体のプロ、それもオンナがいるとは思えなかったのかもしれない。

最近「この本は面白いよ」という話を聞いた。


「そうですか。読んでみようかな」と言ったところ
「君には難しいかもね。経営がわかってないとよくわからないと思うよ」と言われた。
確かにその方は社会的地位も知識もあって、私よりはアタマがいい方だと思うが、日本語で書かれた本だし、私が読んでみなきゃわからないじゃないか???そんなら紹介すんなよ(笑)という感じである。口惜しいというよりは、「やっぱり男尊女卑世界で生きてきた人なんだな」と。
本人は軽い冗談のつもりかもしれないが、そうは受け止められない。読んでもいないのに「キミには多分難しいからわからない」と言われるのは嬉しくない。私は「怒ってないけど、忘れない」牡牛座なのである(笑)。
たまに飲みに行かないかと誘われるが、行かない(笑)

操体の世界でいつも思うのが「素人さん」(といっても何年も携わっている)は、こちらが何か説明しても「難しくて自分にはわかりません」と言う。全国大会や、その他のイベントなどでこのような言葉をよく聞く。何やら「自分はプロじゃないから」と逃げているような印象を持つ。

プロだったら「ここがわからないんですが、教えていただけますか」と、謙虚に学びを乞うと思う。
※例えば本を紹介しても「本は高いから」「字が小さいから」「難しそうだから」という人がいる。こちらも相手を見て紹介しているわけであって、そんなに理解し難い本を薦めているわけではない。まあ、そういう人には二度と勧めないが。

だから「君には難しいかもね。経営がわかってないとよくわからないと思うよ」と言われると「おいおいっ」と思うのかもしれない。